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2010/04/29

NHKの普天間問題に関する番組『解説委員室』への意見・アンケート回答


番組サイトはタイトルをクリック

本日29日放送のNHK解説委員室の「双方向解説、そこが知りたい」シリーズ、今日は『普天間、そして日米同盟の行方は』がテーマだったので、番組に対するアンケート回答・意見を発信してみた。いずれも、個人としての投稿である。意見はいずれも200文字以内という字数制限があったので考えをまとめるのがなかなか大変だったが、以下のように投稿し、アンケートに応えた。

I. 意見の投稿


第1部 「普天間問題の行方」

■ご質問 ※200字以内
1. 普天間問題について、あなたは何を一番、疑問に思っていますか?質問をお寄せください。


一番疑問なのは、なぜ、連立与党各党は矢継ぎ早に県内移転の提案ばかり出すのかということ。国内移設案では、どこも受け入れないのは分かりきっている筈。目的は、案を出すことではなく、他にあるのではないかとしか思えない。それはアメリカとの交渉を有利に運ぶための戦略のように思えてならない。


■ご意見 ※各200字以内
2. 普天間問題について鳩山政権の対応、沖縄の反応、アメリカの姿勢などについてご意見をお寄せください。

鳩山政権側の対応は、悪戯にマスコミや世論を刺激しているように思う。沖縄側の世論は「県内移設反対」だけでなく「普天間基地撤廃」でも一致しており、各首長もこれに異を唱えない。米側は、現行案を固持せざるを得ないが、これだけの反対を前に自ら譲歩せざるを得ない立場に追い込まれている。鳩山政権の場当たり的に見える対応は、実は国論を一致させる役割を果たしており、最終的に米側を譲歩へと追い詰めているのではないか。


第2部 「東アジアの安定」

■ご質問 ※200字以内
3. 東アジアの安全保障や脅威の現状について解説委員に聞きたいことはありますか?どんなご質問でもお寄せください。

特にありません。


■ご意見 ※各200字以内
4. 中国は脅威かどうか、北朝鮮にどう対処すればよいか、東アジア安定の鍵は何かなど、東アジア情勢についてのご意見をお寄せください。

中国は引き続き潜在敵脅威ではあり続けるが実質的脅威ではなくなる。堅実な経済成長路線を維持するには国際社会との協調がますます必要で、孤立する選択はとれない。その中で北朝鮮は中国には目の上のたんこぶ。これにも国際協調で対応しようとしているが六カ国協議の枠内での対応では限界があるだろう。六カ国協議の枠を離れたより広い非核化の枠組みで北朝鮮を囲い込む必要がある。地域安定の鍵となるのは非核化地帯構想だろう。


第3部 「日米同盟のあり方」


■ご質問 ※200字以内
5. 日米同盟についてわからないこと、疑問に思っていることなどを解説委員に質問の形でぶつけてください。

特にありません。


■ご意見 ※各200字以内
6. 日米同盟の現状と在日米軍について、また日米関係のあるべき姿などについて、どんなご意見をお持ちですか?

在日米軍基地は、再編ロードマップが履行されればその兵力が大幅に削減され、軍事的抑止力としての効果はますます弱まる。今後、実質的脅威として考えられるのがテロ、潜在敵脅威として考えられるのがミサイル攻撃などと整理すれば、この両方を抑止する体制があれば十分ということになる。再編・縮小された米軍と自衛隊の関係は、これは日米共同で緊急災害援助活動等に特化した部隊に再編する路線などが考えられる。


II. アンケートへの回答

番組のアンケートには次のように応えた。
いずれも、個人的見解であることは申し添えておく。

Q1.普天間問題は5月末までに?
 A.決着する
B.決着は無理
C.わからない

Q2.中国と北朝鮮、安全保障上の脅威は?
A.中国の脅威が大
B.北朝鮮の脅威が大
C.どちらも脅威ではない

Q3.日米同盟、今後どうあるべきか? 
A.さらに強化すべき
B.現状を維持すべき
C.現状より低減すべき

Written by Etranger

2010/04/16

検証:在沖米海兵隊は「なくても困らない」存在なのかⅠ (Are the Okinawa Marines really "dispensable"? Part I)

在沖米海兵隊は「なくても困らない」と専門家(共同通信)

16日付の共同国際版(ジャパンタイムズが転載)によれば、在沖米海兵隊は「なくても困らない」("dispensable")存在らしい。大阪経済法科大学アジア研究所客員研究員の福好昌治氏Shoji Fukuyoshi)や、琉球大学法文学部の我部政明教授(Masaaki Gabeなど国内の専門家によれば、「在沖米海兵隊の兵力は大幅に削減されており、抑止力として疑問がある」そうだ。

"Analysts say force levels have been greatly reduced and question their role as a deterrent."

記事では、これまで海兵隊の普天間飛行場を「どこ」に移転するかについてが物議をかもしてきたが、「沖縄における米海兵隊の存在が必要不可欠であるかを合理的に問う議論は、これまで十分になされてこなかった」と指摘する。

"...but there has been little discussion regarding whether it is reasonable to assert that the presence of the marines in Okinawa is indispensable."

I. 日本側(専門家)の主張

前述の2名の専門家は、「沖縄に実際に配備されている海兵隊の数は公式発表よりもはるかに少なく、 そのような少ない数が果たして抑止として働きうるのか疑問が生じている」という。

たとえば、福好昌治氏は在沖海兵隊の配備は「空洞化している("hollowed out")」と主張する。

But military analyst Shoji Fukuyoshi has his doubts, saying the deployment of marines in Okinawa has been "hollowed out."


II. 米側(国防総省)の主張

米側は、日米安保の基本的性質として、海兵隊駐留の意義を主張する。

記事によれば、今年2月に来日した太平洋海兵隊のスタルダー司令官(Lt. Gen. Keith Stalder)は、駐日米大使館の催しの席で、現在配備中の在沖海兵隊は「潜在敵の抑止と撃退」という日米同盟の目的を支える「完璧なモデル」であると主張した。

...the current deployment of marines in Okinawa is "the perfect model" to support the bilateral alliance's objectives of "deterring, defending and defeating potential adversaries."

さらに同司令官は、海兵隊員たちには日本を守る為に命を投げ出す覚悟があるが、日本には合衆国を守る[条約上の]双務的義務はない、と明言したという。

"Our service members are prepared to risk their lives in defense of Japan. . . . Japan does not have a reciprocal obligation to defend the United States" under the treaty

そして、 司令官はさらにこう続けたという。

「合衆国が日本の防衛を保障することの対価として、日本は基地や、訓練の機会、そして最近においては財政支援を提供してくれている」

"In return for U.S. defense guarantees, Japan provides bases, opportunities to train and, in more recent times, financial support,"
我が国が長期に渡って行ってきた現在年間7,000億にも及ぶ駐留経費負担を考えれば、 「最近においては」という表現には大いなる語弊があるが、スタルダー司令官をその誤りを正すこともなく、「我々はこの非対称性("asymmetry")を受け入れている」と言い切ったそうだ。 共同の解釈では、日本政府にその現実を重く受け止めてもらいたいと示唆したことになっている。

Stalder said the United States "accepts this asymmetry" but hinted Washington wants Tokyo to always keep this in mind.

III. 在沖海兵隊の実態

記事では、米側は在沖海兵隊の総兵力は18,000に及ぶとしているが沖縄県の調べでは実数は12,000だということが分かっているとする。

The United States says the full strength of the marines in Okinawa is around 18,000, while the prefectural government says the number is actually about 12,000.


これは、一部事実だ。最近では日本政府(防衛省)も、その公式資料で沖縄県側の資料を引用し、平成20年9月末時点の実数は12,402人(資料1)だと認めている。しかし、米側は在沖海兵隊の総兵力は18,000にも及ぶと公表しているのだろうか。この点については後で詳しく述べるとする。

資料1:在沖海兵隊の総兵力(防衛省)



















さらに記事では、在沖海兵隊部隊は沖縄に常時駐留するわけではなくロテーションで県内に移動してくるだけだとする沖縄県側の主張が紹介されている。

Many ground units do not remain in Okinawa on a regular basis but rotate to the prefecture, local government officials said

前出の日本側の専門家、福好氏は「米側は沖縄に4つの歩兵大隊を駐留させていると主張するが、そのうちの 3大隊(2000人規模)は、2003年以降沖縄本島には駐留していない」とする。

Fukuyoshi said the U.S. side claims it has four infantry battalions in Okinawa, but three of them, with a total of around 2,000 members, have been away from the island since 2003.

IV. グアム移転協定はデタラメなのか

ここで、記事はこういう論を展開する。

在沖海兵隊のグアム移転協定(協定本文)では、在沖海兵隊員約8,000名がグアムに移転し、「理論上」("theoretically")県内には10,000名が残留するはずだと。

Under the current bilateral agreement on the realignment of U.S. forces in Japan, around 8,000 marines in Okinawa will be transferred to Guam and the remaining 10,000 will theoretically remain in the prefecture.

ちなみに実際の協定の条文は次のとおり。(防衛省資料にも“要約”あり:資料2

資料2:グアム移転協定の“要約”(防衛省)

“日本国政府は、第九条1の規定に従い、アメリカ合衆国政府に対し、第三海兵機動展開部隊の要員約八千人及びその家族約九千人の沖縄からグアムへ の移転(以下「移転」という。)のための費用の一部として、合衆国の二千八会計年度ドルで二十八億合衆国ドル(二、八〇〇、〇〇〇、〇〇〇ドル)の額を限 度として資金の提供を行う。”

続いて記事は、沖縄は、米軍が保有する3つの機動展開部隊(Marine Expeditionary Forces:MEF) のうちの一つ、第三海兵隊機動展開部隊司令部(IIIMEF)が置かれている米本国を除く唯一の海兵隊の活動拠点であるとする。これは、前述の防衛省資料で米海兵隊の配置図(資料3)を見れば確認できる。

資料3:全世界における米海兵隊の配置図(防衛省)


The U.S. Marine Corps has three expeditionary forces and Okinawa is the only location outside of the U.S. mainland that hosts one of them, the 3rd Marine Expeditionary Force,

さらに記事は、海兵隊が在沖米軍兵力の六割近くを占めているとする。

Nearly 60 percent of U.S. service personnel stationed in Okinawa are marines.

前出の防衛省資料によれば、米国防総省発表の数字として在日米軍の総兵力35,965。内海兵隊の総兵力16,881となっている(資料4)。実は、防衛資料でわかるのはここまで。資料のどこを読んでも、在沖米軍の総兵力がわからない

資料4:在日米軍の総兵力と在日海兵隊の総兵力(防衛省)


実は外務省も、最近の資料ではこれを明かしていないので、では沖縄県の資料に当たってみる ことにする。21,277という数字が出てくる(資料5)。

資料5:在沖米軍の総兵力(沖縄県)





































さらに、防衛省資料(但し出所は沖縄県)から在沖海兵隊の総兵力12,402だとわかっている。

出所を辿ってみて改めて分かるのは、沖縄県側のも防衛省側のも、結局は米側の公表資料に基づいてることが分かる。つまり12,402が米側公表数値ということだ。18,000ではない。

以下まとめてみる。


V. 共同の数値「18,000」の検証


〔A〕在日米軍兵力の実態(複数ソース)

  1. 在日米軍総兵力 35,965 (米公表、出所:防衛省)
  2. 在日海兵隊兵力 16,881 (米公表、出所:防衛省)
  3. 在沖米軍総兵力 22,720 (沖縄県公表、出所:米国防省)
  4. 在沖海兵隊兵力 12,402  (沖縄県公表、出所:米国防省)

前述のように記事は、「海兵隊が在沖米軍兵力の六割近くを占めている」とこれを事実として主張している。在沖米軍総兵力については、米側には公式に発表されていないのだから、沖縄県側の公表数値に頼るしかない。その場合は、21,277の六割が在沖海兵隊の総兵力だということになる。単純に計算すると12,766とでる。グアム協定に則り、ここから8,000を引くと4,766となる。理論上の計算でも10,000人にはならない。

では、米側の公式発表を簡単に見てみよう。誰でも見れる在日米軍公式サイトである。

ここで「About U.S. Forces Japan」を見ると、まず在日米軍総兵力は約36,000となっていることがわかる(Headquartersの見出し部分)。陸軍は約2,000という数字が出てくる(U.S. Army, Japanの見出し部分)、海兵隊は約16,000(III Marine Expeditionary Force見出し部分)、海軍は6,000(Commander, Naval Forces Japan見出し部分)、空軍は1,3000(U.S. Air Forces Japanの見出し部分。※ただし文民含むと記載あり)とある。これらの数字も同様にまとめてみよう。


〔B〕在日米軍兵力の実態(在日米軍サイト公表)

*は防衛省出所の米公表数値(**は外務省出所の米公表数値→資料6

  1. 在日米軍総兵力 約36,000 *35,965 **34,500
  2. 在日海兵隊兵 力 約16,000 *16,881 **15,200
  3. 在日米陸軍兵力 約  2,000 * 2,594 **  2,600
  4. 在日米海軍兵力 約  6,000 * 3,779 **  4,000
  5. 在日米空軍兵力 約13,000 *12,711 ** 12,700

    *防衛省公表数値の情報源が判明した。
    国防総省直属情報機関の2009年9月30日時点の情報だった。

    出典:米国防総省情報作戦報告本部(Directorate for Information Operations and Reports, Washington Headquarter Services, DIOR),  "Active Duty Military Personnel Strengths by Regional Area and by Country", September 30, 2009.
資料6:在日米軍の兵力内訳(外務省)




















海軍兵力についての記載には疑問の余地があるが、これも文民含めての数値とすれば許容範囲内の誤差だろう。総兵力はいずれも約36,000で間違いはない。そして、最も重要なのは、海兵隊兵力の数値も許容範囲の誤差で済んでいるということ。

つまり、共同が主張する18,000という数に論理的根拠はない。

〔A〕のまとめに基づけば、正確な数字としては、在沖海兵隊兵力12,402で、グアム協定に基づくとここから約8,000(米大平洋軍司令部資料によると8,522)が移転することになる。沖縄県の数字に則れば、残存兵力は3,880ということになる。ではここから逆算して、在沖海兵隊兵力12,402は在沖米軍総兵力21,277の何パーセントに当たるかを割り出してみると、58%と出る。これを共同は「約六割」と形容していたわけだ。

つまり、共同は自らが前提としている18,000を前提にこの割合を出していない。いつの、どこの情報に基づいているかを明記しないで、実際は日本側の数値(しかも本当は米側公表数値)に頼りながら、その事実を曖昧にした記述のまま主張を通そうとするから、こういうことになる。

記事に戻ってみる。

VI. 在沖海兵隊の必要性

記事では一部の安全保障の専門家は、次の理由で海兵隊は沖縄に駐留すべきだと主張する。
  •  陸上部隊のプレゼンス維持のため
  • 半島有事の際の文民救済のため
  • アジアに於ける対テロ作戦遂行のため
  • 災害救援活動のため

Security experts say marine units should stay in Okinawa for purposes such as providing ground force presence, rescuing civilians in an emergency on the Korean Peninsula, antiterrorism operations in Asia and disaster relief activities.

それでも共同は、前出の我部教授は次のように主張するとして、記事をこう締めくくる。

「米海軍や空軍は抑止力となるかもしれないが、海兵隊を維持する意味は見当たらない」

"The U.S. Navy and Air Force in Japan could be seen as a deterrent. But I don't see meaning in keeping the marines."

VII. 中間総括


今回の検証プロセスを通じて実数が把握できたところで、グアム移転協定の実施後は約4,000の海兵隊兵力が沖縄に残存することがわかった。共同は記事冒頭で、「沖縄における米海兵隊の存在が必要不可欠であるかを合理的に問う議論は、これまで十分になされてこなかった」と指摘したが、では実際にこの記事で合理的にこれを突き詰めたかというと「十分ではない」としか評価できない。

米海兵隊の存在意義を合理的に問うのであれば、周辺の情勢、変わりゆく国際的な「脅威」の実態を念頭に、その中で米海兵隊がどのような役割を果たし、それが日本ひいては東アジア地域の平和と安定にどのように貢献するのかという視点を持ち、客観的かつ総合的に、その有用性を判断しなければならないのではないのか。

「日米の深化」を謳い、同盟締結50周年を迎えた2010年の今年、日本が対等な国家として為さなければならないのは、耳に心地よいだけの美辞麗句を宣言することではなく、同盟国としていかに在日米軍の存在意義を再評価し、その再評価に則った新たな協議プロセスを開始することではないのか。

これを大衆に代わって監視する役割を持つマスコミも、こうした視点で同盟関係を見つめ、国内で自由闊達な議論が行われるよう努めるべきではないのか。今回の共同の問題提起は、的を射ていたが、自ら提起した問題に答えるほどの結論は導かれていない。そして、そこまで至る過程も杜撰で論理矛盾していた。

次回の「Ⅱ」では、上記の視点で在日海兵隊の役割を見つめ直し、「海兵隊を維持する意味」等という矮小な問いかけではなく、その中で再構築される日米両部隊の国際的な役割を念頭に、これまでずっと温めていた構想を展開する。

続く

(2010/04/17 17:00校了)

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参考文献:

外務省

グアム移転協定全文
『第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転の実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定』

第19回外務省政策会議提出資料,平成22年2月24日,p1.
『日米同盟の深化』

第19回外務省政策会議提出資料,平成22年2月24日,p5.
『日米安保体制:概要と現状』

防衛省

第7回防衛省政策会議提出資料,平成22年2月9日, p15, 23.
『在日米軍及び海兵隊の意義・役割について』

沖縄県

知事公室基地対策課
「基地の概況」『沖縄の米軍及び自衛隊基地(統計資料集)平成21年3月, p2, 3.

在日米軍

公式サイト, About U.S. Forces Japan
 Official Military Website U.S. Forces Japan



原典記事:

Kyodo News International syndicated by Japan Times Online
Okinawa marines said dispensable | The Japan Times Online


Written by Etranger

2010/04/15

粗訳 鳩山総理を「酷評」するWPゴシップ・コラム

  • ↑をクリックすると、元記事の全文が読めます。

今朝方Twitterで、米Washington Post紙のコラムがワシントンの核サミットに出席した鳩山総理を酷評しているという情報が廻ってきた。実際に記事を読んでみると、なんのことはないゴシップ面の下品な風刺コラムなのだが、いずれ日本の朝刊を賑わすに違いないので今の内に該当部分を全訳して読者に正規(といっていいのかわからないが)の訳を把握しておいてもらおうと思う。こういう情報を既成マスコミに先駆けて発信するのも、このブログの目的の一つである。が、以下は若干30分で行った“粗訳”であることは予め申し述べておく。


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By far the biggest loser of the extravaganza was the hapless and (in the opinion of some Obama administration officials) increasingly loopy Japanese Prime Minister Yukio Hatoyama. He reportedly requested but got no bilat. The only consolation prize was that he got an "unofficial" meeting during Monday night's working dinner. Maybe somewhere between the main course and dessert?


今回の「核の祭典」の最大の敗者は、なんといっても、「哀れ」で、(オバマ政権関係者に言わせると)ますます「愚か」な姿を晒してしまった日本の鳩山由紀夫首相だろう。伝えられるところによれば、彼は[オバマとの]首脳会談を望んだが断られたそうだ。唯一の慰みはといえば、12日のビジネスディナーの時に「非公式な」会談を許されことか。といっても、おそらくメインコースとデザートの間の数分くらいだろうけど。


A rich man's son, Hatoyama has impressed Obama administration officials with his unreliability on a major issue dividing Japan and the United States: the future of a Marine Corps air station in Okinawa. Hatoyama promised Obama twice that he'd solve the issue. According to a long-standing agreement with Japan, the Futenma air base is supposed to be moved to an isolated part of Okinawa. (It now sits in the middle of a city of more than 80,000.)


大金持ちの息子である鳩山は、沖縄の海兵隊航空基地問題など、日本とアメリカに間に横たわる死活的な問題についてまったく信頼できないとして、オバマ政権関係者を落胆させている。鳩山はこれまでオバマに対し二度、この問題を解決してみせると約束した。日本との間に結ばれた長期協定によれば、普天間航空基地は沖縄の僻地に移転される予定だった(現在は8万人が暮らす都市のど真ん中に置かれている)。

But Hatoyama's party, the Democratic Party of Japan, said it wanted to reexamine the agreement and to propose a different plan. It is supposed to do that by May. So far, nothing has come in over the transom. Uh, Yukio, you're supposed to be an ally, remember? Saved you countless billions with that expensive U.S. nuclear umbrella? Still buy Toyotas and such?


だが、鳩山が率いる日本の民主党は、この協定を見直し別の計画を提案したいと申し出た。これが5月までに提示される予定なのだが、いまのところ、明確な案が提示された形跡はない。

ええと… 由紀夫クン。キミは自分が同盟国の首相だってことをわかってるのかね。「核の傘」でウン千億の金を節約してやってるというのに、それでもトヨタ製品を買ってやってるというのに。自分のやってること分かってるのかね?

Meanwhile, who did give Hatoyama some love at the nuclear summit? Hu did. Yes, China's president met privately with the Japanese prime minister on Monday.


一方で、核サミットで[哀れな]鳩山の唯一慰めとなった人物が、他でもない胡錦濤そう、中国の国家主席は12日、日本の首相と密かに会談しているのである


原典:米ワシントンポスト紙のゴシップ面のコラム In the Loopより
"Among leaders at summit, Hu's first" by Al Karmen

このゴシップ・コラムの衝撃は、国内報道各社では次のように報じられた。
各社がどう報じたかを記録してみよう。以下、順不同で転載する。
尚、翻訳評価は適訳か誤訳か不適当かで手前勝手な基準で付けた評価である。

  • 朝日新聞: 翻訳評価→適訳





    「その中でオバマ米大統領と公式の首脳会談を行えなかった鳩山由紀夫首相を「間違いなく最大の敗者」と皮肉った
  • 産経新聞: 翻訳評価→適訳





    「鳩山首相について同紙は、「不運で愚かな日本の首相」と紹介。

  • 読売新聞: 翻訳評価→不適当 (今回の↓MUP:Most Unvalued Player





    「このショーの最大の敗北者は断然、哀れでますますいかれた日本の鳩山由紀夫首相だった」と鳩山首相を酷評した。
  • 時事通信:翻訳評価→適訳





    「恐らく夕食会のメーン料理とデザートの間に、(米政府の)慰めとして非公式会談をしてもらった」と酷評した。
  • FNN ニュース:翻訳評価→適訳





    記事は、核安保サミットでの最大の敗者は、「不運で愚かな日本の鳩山首相だった」と断定、鳩山首相が得たのは、残念賞としての夕食会での「非公式」会談だけだったと酷評し た。
  • NHK ニュース:記事内容→適訳





    最大の敗者はオバマ大統領と非公式の会談しかできなかった日本の鳩山総理大臣だ」と する論評を掲載しました。
  • 東京新聞: 翻訳評価→誤訳(但し、指摘部分以外)





    大統領と夕食会で約十分間の非公式会談しかできなかった鳩山由紀夫首相を「豪華ショー(サミット)の最大の敗者」と酷評した
  • 日経新聞:翻訳評価→適訳(今回のMVP☆)





    「最大の敗者は鳩山由紀夫首相」「不運で愚かさを増している」


    Written and compiled by Etranger

2010/04/14

和訳"Does Oklahoma WANT Civil War?"by Max小林

  • Click the title for the original article and translation by Max
オクラホマは内乱を望んでいるのか

和訳"Is America sliding into Civil War?" by Max小林

  • click the title for the original article and translation by Max
果たしてアメリカは内乱に陥ってしまうのか


普天間問題に関する直前のブログ記事の最後のパラグラフで、私はアメリカは内乱状態に陥ろうとしていると書いた。これは本当だろうか。


事実である。第二次世界大戦の終結から'70年代までのアメリカは、世界最強の経済大国だった。そしてアメリカ人は、この経済力は自分たちの当然の権利と思い込んでいた。だが歴史を学べば分かるように、変化はごく自然に訪れるものである。

アメリカ以外の国々、たとえば西欧や日本も繁栄を謳歌するようになった。そしていまは、中国とインドが台頭してきている。

またこの惑星の石油などの天然資源は枯渇しかかっており、安い石油なしでは、アメリカ人が生まれながらの権利と信じて疑わないこれまでの生活水準を維持できなくなる。

日本で35年間暮らしてきた私は、アメリカが極めて利己的な社会へと変貌してゆく姿を見つめてきた。保険会社は、法外な保険料を請求するくせに、いざ実際に保健が必要になると顧客をいとも簡単に切り捨て、治療費の支払いを拒否する。毎年、多くのアメリカ人が保険会社の治療費支払いを拒否された末、死んでいっている。
アメリカの銀行や投資会社は、人々が最終的にホームレスになることを承知で、わざと複雑なローンを人々に勧める。これにより、アメリカ人の24%が住まいを失う危険性があることを示す統計もある。過去30年間、アメリカでは人口の1%の富裕層に全ての富が集まるという現象が起きている。残りの99%は現状すれすれか、ますます貧しくなる一方であるにも関わらずだ。

ただ、一般的なアメリカ人があまり経済的計画性が高くないのもまた事実だ。たとえば、ほとんどのアメリカ人はクレジットカードで生活しているというニュースをよく耳にする。まったく、呆れかえってしまう。クレジットカードを使うことで借金が蓄えられ、その借金はいつか返済されなければならないことを、彼らは分かっていないようだ。

つまり現在のアメリカは、終戦直後の生活水準をもはや保てるわけがないのに、そうした贅沢なライフスタイルを享受するのが当然の権利であると考える人たちで溢れているわけだ。私が思うに、保守派のティー・パーティーのデモ参加者たちの思想背景にもこのような考え方がある。彼らは自分の人生設計においてミスを犯したツケを払っているのだが、そのツケを払わないでいいように、誰かがルールを変えろと訴えているのである。
では、政界はどうか。
政界では、議論する能力が失われて行っている。右派・左派関係なく、大げさなレトリックを投げ合っているのが現状である。だがやはり、右翼の危険性をここで強調しなければならない。右翼のテレビやラジオでは、コメンテーターが公共電波上で暴力を勧めるようになってきている。

そして政治集会には銃を持った人たちが集うようになっている。アメリカ人は、「何かを失う」という感覚を忘れてしまったのではないかとすら思えてくる。たとえば、住宅を担保にあやしげな金融取引を行えば、その住宅を失う可能性があるということを考えようともしない。そういった人たちが今、誰かが彼らの過ちを正してくれないかと、暴力に訴えようとしているのである。現実はどういうことかというと、あまりにも多くのアメリカ人が欲張りで、かつ自業自得で勉強不足になっているのである。

どのような国でも、革命を起こすには、その求心力となる中心的勢力が必要になる。この中心的勢力が、組織的に目標を定め、規律を守り、革命的な活動を指示するわけである。ロシアの場合、共産党は革命を成功させ、内乱を制すりることで体制を維持した。

二次大戦後の中国では、中国共産党が内乱に勝利することで中国を制した。

アメリカにも、そのような革命を望む勢力は存在する。それは、キリスト教原理主義者たちである。彼らの信ずるアメリカのあるべき姿とは、聖書の規律によって支配された神政主義的な独裁国家である。

アメリカ人の50%位は、キリスト教原理主義者だといえる。そのうちのさらに半分が、彼らの考えるキリスト教立国アメリカを創りあげるために暴力的な革命を起こすことが信仰上の義務であると信じている。彼らの信条に改宗しない者は、二級市民扱いされるか、強制退去を余儀なくされるか、単純に殺されるかのいずれかだ。これらの考え方は、それぞれのリーダーによって異なる。

アメリカを征服した後の彼らの目標は、世界各国を全て彼らの信じるキリスト教国に染め上げることである。カソリックや、ルター派などの伝統的なキリスト教徒は根絶やしにされるだろう。


国家をキリスト教化するというこの革命哲学は、七つの分野において徐々に進化してきた。

これを"Seven Mountains" (「七つの山々」)戦略という。

Arts & Entertainment
芸術とエンターテインメント

Business  
商売

Education   
教育

Family
家族

Government
政府

Media
マスコミ

Religion
宗教

彼らの計画は、この全ての分野をキリスト教原理主義者が支配し、国家の信仰を自らの信仰へと塗り替えることにある。


ベトナム戦争終結後、キリスト教原理主義は特に軍隊に目標を絞って布教を行った。私の見たところ、大多数の米軍人は、キリスト教原理主義である。彼らは、ムスリム国家のイラクやイスラムでのアメリカの戦争の現場で顕在化するほど、大きな存在となっている。


仮にいまアメリカで内乱が起きたとして、合衆国大統領の命令に全ての米軍人が従うとは思えない。多くはキリスト教原理主義者の側に与するだろう。

キリスト原理主義のほとんどは、オバマ大統領を正統な大統領と認めていない。実は、2008年の大統領選挙でマケイン候補の副大統領としてサラ・ペイリンが擁立されたのは、キリスト教原理主義のクーデーターの一環だった。当時、数多くの原理主義者Webサイトで共和党候補の選出が叫ばれていた。マケイン大統領は当選後、暗殺され、自然にペイリン副大統領がキリスト教原理主義出身の大統領になる予定だった。

アメリカではすでに、宗教上の理由に端を発した無差別的な暴力が始まっている。中絶医は狂信者集団に殺害されるし、つい先週、FBIは、警察官の暗殺を企てていたとされる原理主義系民兵組織のメンバー8人を逮捕した。

こうした民兵組織に属する人間は、一様に無知で、恐怖や、不満を抱えている。しかし核となる信仰のシステムが確立されており、民兵組織のメンバーらは強い原理主義的価値観を持っています。しかし現状は、アメリカ人全体の25%が強硬的な原理主義者であり、さらに25%が彼の支持者なのである。これは暴力的な革命を起こすのに十分な数字であると言える。

実際に彼らが原理主義者たちがアメリカを支配するかどうか、それはまだ分からない。だが、アメリカ国内で武力紛争が起きるのは間違いない。

現状、キリスト教右派は、政治的な支配を確立しようとしている段階にあり、これに成功しつつある。彼がなぜただ「逮捕」されるのか。たしかにアメリカには言論の自由があるが、それが理由ではない。彼らの政権公約(マニフェスト)は、彼ら以外の種類の人間、彼ら以外の思想を持つ人間のあらゆる権利を剥奪することをその目標に掲げている。

彼らの政治的活動の背景には常に宗教的な理由があるため、彼らは自分たちが正しいと信じて疑わない。その中には、武闘派の動きもある。たとえば、"Joel's Army"(ジョエル軍)又は"Phineas Priest"(フィネウス司祭)とぐぐってみればいい。これらのグループは、キリスト教の名のもとに暴力的な活動をすでに展開しているか準備中のどちらかだ。そして、キリスト原理主義といえば、あらゆる人種が網羅されるものだったが、最近は、白人至上主義者による運動へと。

彼らは着々と計画を進行させている。最近では、テキサス州でアメリカ史の教科書が書き直された。彼らは教科書に、アメリカの建国者らは、キリスト教原理主義国家を創ろうとしたのだと書き込みたいのである。これは事実ではないが、これも彼らの「七つの山」戦略の一つなのである。

FOXニュースも、常に保守的でキリスト教的な世界観で報じることで、計画の一環としての役割を果たしている。

政界では、サラ・ペイリン議員やミシェル・バーハマン議員が先頭に立って動いている。いまのところ、彼らの絶対的リーダーというのは存在しないが、「リーダー」と呼べる人物が10~15人もいる。

私はルター派の子どもとして洗礼を受けた。私には、彼らキリスト教原理主義者らが真のキリスト教徒だとは思えない。彼らは神の名において破壊や殺戮をもたらしているのである。それは、宗教ではない。それは、個人の利己主義の発露に過ぎない。

和訳 "The Futenma issue" by Max-小林

  • click the title for the original article and translation by Max
普天間問題

鳩山政権発足以来の中心的課題といえば、沖縄・普天間基地の移設問題だろう。はっきり言わせてもらおう。この問題に関するアメリカの対応は杜撰すぎる。

どうやら、オバマ政権になっても、アメリカの政府関係者は日本を属国とみなす傾向から脱しきれないようだ。先の総選挙で民主党が勝利した背景に日本社会の変容があるということを彼らは未だに理解できないでいる。

私の目から見ても、一般的な日本人はアメリカに従属する関係ではなく、対等な関係を求めているように見える。実際問題として、在日米軍は日本の防衛に必要ない。自衛隊で十分なのである。

冷戦は遙か昔に終焉を迎え、北朝鮮は無力で、脅威足り得ない存在である。北朝鮮が使用可能な核を配備しているとは、私には到底思えない。確かに、中距離ミサイルは配備しているかもしれないが、それらを日本に向けて撃ったとして、彼らに何の得があるというのか。植民地支配時代の復讐が叶うとでもいうのか。

抑止力の観点でいえば、中国は米国に匹敵する抑止力を持つ。中国は北朝鮮の崩壊を恐れているからこそ、最低限の保障を行っている。しかし中国は過去、北朝鮮がその意に従わなかったときに石油の禁輸措置をとったこともある。仮に北朝鮮が軍事行動に出たとしたら、中国は必ず関与する。だが、中国はそうなることを望んではいない。

化学兵器や通常弾頭のミサイルを数発撃つこと以外に、北朝鮮が日本に対してとれる行動はない。軍の老朽化が進みすぎていて、韓国に侵攻することすら出来ないのが現状だ。

では、中国はどうか。

私は、中国も日本の直接的な脅威にはならないと思う。中国の上陸作戦部隊は台湾侵攻を想定して配備されており、危険の伴う海上補給なしで琉球諸島にまで侵攻する遠征能力を持たない。日本の海自及び海自なら、十分に海上補給を阻止できるし、仮に上陸に成功したとしても、日本側の捕虜となるため増援は期待できない。

したがって、中国が日本に侵攻するとは思えないし、そのメリットもまるでないと思う。私の知る限りでは、中国海軍の増強は南シナ海の制圧と海底油田の確保をその第一目的としていると思われる。これに対して、日本側にできる防衛上の備えとしては、潜水艦部隊の増強がベストな選択だろう。

米軍が日本の防衛に必要でないならば、なぜ彼らは日本に駐留するのか。それは、日本の基地が米軍の世界戦略を支える拠点となっているからである。

では、それが分かったとして、日本に何が出来るのか。

正直、私はアメリカ人が全世界を軍事的観点からしか捉えず、世界の全ての国を軍事的な同盟国であるか敵国であるかで色分けしていることに、いい加減嫌気が差している。そのようにしか、国家間の関係を思考できないのである。日本は友好国なのだから、アメリカの戦争に協力する必要がある、さらに言えば、アメリカと共同で、アメリカの指揮下において自衛隊を派遣する義理がある、と。

個人的には、アメリカが在日米軍を全て撤退させて日米同盟を破棄したら、日米関係の根幹を揺るがす大問題となるだろうと思う。しかし、アメリカの戦争を戦うために自衛隊を海外に派遣する義理はない。

同時に、日本国内で基地がどのように管理されるかについては日本に主張する権利があると私は思う。日本は主権国家なのだということを、アメリカは忘れてしまっているのではないか。 アメリカ人も、妥協することを学ぶべきなのである。

いずれにせよ、アメリカの財政は破綻しているし、アメリカの世界戦略もいずれ終焉を迎える。実際、アメリカは単なる財政上の危機に陥っているのではない。経済社会的な問題が膨れあがり、数年内に内乱に陥る危機さえあるのだ。

そのような事態となったら、アメリカは日本に駐留・滞在する米軍兵士やその関係者を本国に送還する力すら持たないかもしれない。寧ろ日本では、そのような事態に備えておく必要がある。


Original Text by MAX-小林
Translated with permission by Etranger