Special Pages - 特設ページ

2013/08/21

(書き起こし)TEDxでヒギンズ弁護士が語った新犯罪概念「エコサイド(生態系破壊犯罪)」とは



いまから8年前、英国の王立裁判所で国選弁護人を務めたポリー・ヒギンズ(Polly Higgins)は、ある画期的な犯罪概念を思いつく。だがそれは単なる思いつきではなく、弁護士ならではの法理念と法体系の理解から生まれた発想だった。思いついた瞬間から、ヒギンズ女史はその法理性を徹底的に調べ上げ、自身の考えが現行の国際法体系(国連システム)に則した考えであることを確信する。7年後、彼女はNHKの「スーパープレゼンテーション」でも知られるTEDTalksの一般普及版TEDxイベントにてトークを行う。彼女の突拍子もないアイディアが時勢に認められた瞬間だった。以下は、TEDに認められたヒギンズ女史のトークの原稿のスクリプト(文字起こし・翻訳もOffice BALÉSで行った)を文章形式に書き起こし直したものである。

参考資料:

英語版の非公式書き起こし ←ポリー本人が絶賛!
日英スライドギャラリーと解説 ←動画とは別に行われたスライドとプレゼンの内容
Togetterの連投ツイートまとめ ←「エコサイド」以外の3つの選択肢も考察




「エコサイド」を思いついたきっかけ


7年前 私は法廷弁護人として
王立裁判所の法廷に立っていました

長い間かかわっていた
ある裁判の最終日で

職場で重傷を負った
ある男性の代理人を務めていました

私は彼の代理となって
法廷で発言していました

判事が入廷する前
束の間の沈黙が流れました

その時 窓の外を見て
こんなことを考えたのです

“地球も ひどく傷つき 
危険に晒されている
何とかすべきではないか”

そして 次にこう考えたことが
私の人生を変えました


“地球にもよい弁護士が必要なのだ”

しばらくそのことで
頭が一杯になりました

そこで 仕事を離れて
考えてみました

“法廷で弁護するとして
何があれば 法廷で
地球を代理できるのかしら”

何もありませんでした!

そこで考えました

“何があればいいのか”


“地球に何らかの権利があるとしたら?”

“私たち人間にも
様々な権利があるのだから
もっとも重要なのは 当然ながら 
生存の権利”


“では 地球にも
生存の権利があるとしたら?”

同僚たちに話したら
こう言われました

“何を言ってるんだ?
権利なんてあるわけがない!
それに 環境法なら
いくらでもあるじゃないか?
まずはそれからだろう?”

“そこが問題なのよ”
私は言いました


“既存の環境法は全く機能していないわ”

“機能している訳がない
アマゾンを見ればわかるでしょ
日々悪化する損害や破壊を
私たちは目の当たりにしているのよ”

“既存の法は
それを止めていないのよ”


7億5千万人の賛同者


私は 他に同じ考えの人がいるか
探してみることにしました

そうして 実は多くの賛同者が
いることがわかったのでした

正確に言うと
7億5千万人もいました

うち 3億7千万人
原住民の人々

地球に生存権があるという考えに
共感してくれていました

また 人命だけでなくあらゆる生命が
尊いものであるということも

仏教徒も このような
理解であると知りました

これで
3億8千万人の追加です

欧州の人口に近い 7.5億人の人々
私のように考えていました

ただ 法律として
明文化されてこなかった


5番目の平和に対する犯罪


そこから より深く考えてみました
なぜなら実際は
私たちの人権や“生存権”は
一対一の関係に基づくからです

たとえば “謀殺”
アメリカでは“殺人”ですね

そして一つの集団の中で起きると
これは“ジェノサイド”といわれます

2009年に 大勢の聴衆の前で
地球の権利について
語ったことがありました すると
聴衆の一人がこう言ったのです


“地球上で 生態系に対して起きているこの大規模な損害や破壊についてなにか新しい言葉を考えなければ”

と その通りだと思いました

まるで“ジェノサイド”のような・・・
そう “エコサイド”だと

これはまさしく
ひらめきの瞬間でした

頭の上でひらめきの光が
灯ったような感覚でした

"そうか!これは犯罪にすべきなんだ

でもできるかしら?エコサイドを犯罪に?”

私は自宅に飛んで帰り
徹底的に調べ始めました

そして三か月後
やっと一息つきに 外へ

そしたら気が付いたんです
これはただの犯罪ではなく
失われた 5番目の
平和に対する犯罪にできると




こちらのスライドでは

「国際平和に対する犯罪」として知られる
一連の犯罪を列挙しています

人道に対する罪と戦争犯罪 そして
ジェノサイドは既存のものです

これらは
二次大戦後に確立されました

そしてこれらの犯罪規定は
すべての犯罪行為を網羅する
いわば超越法として
すべての法の上に立ちます

その他の法はすべてこれに
準じていなければならないのです

侵略犯罪という
戦争に繋がる行為も
2010年に新設されました

私はここに5番目の平和に対する犯罪
エコサイドが在るのだと主張したいのです





地球のすべての“住人”を守る法概念


いまある法律は
生命の福祉を守るためのものですが
実際に守られているのは
生命そのものの尊さです

私が主張したいのは 尊重されるべきは
人命だけではないということ

尊重されるべきは すべての生命
地球のすべての住民であるということです




この図は 世界でいま
起きていることを示しています

大規模な損害と破壊が蔓延し
これが私の言う“エコサイド”に繋がります

この言葉の定義については
後でご説明します


エコサイドを引き起こす悪循環


このエコサイドが
資源の枯渇や
紛争その他に繋がり
これが戦争へと繋がることで
さらなる損害と破壊 そして
さらなる資源の枯渇へと
繋がるわけです

実際 コンゴでいま起きている問題は
この悪循環の最たる例といえるでしょう

負のスパイラルがより早く
さらに深まり さらに進行する

紛争が戦争へと発展し さらなる
損害と破壊がさらなるエコサイドを・・・

そうして負のスパイラルがさらに深まり
さらに進行してしまう・・・

キング爵が言う “資源戦争の世紀”の
只中に 私たちは居るのです

しかし この見方を根底から
覆すことも可能です

その道筋で
止めてしまうのです


悪循環を鈍らせるためではなく“止める”ため

また介入して阻止するため

ストッパーとなる法律を作ることで

負のスパイラルの深化や進行を止める

これが

エコサイド法の果たす
機能なのです


エコサイドの法的定義



これは 私が国連に提出した
法律提案の冒頭の一文です

生態系への広範囲な損害 破壊に
及ぶとエコサイドの犯罪が成立する

ここで使われる言葉にはすべて
法的意味合いがあります

なかでも最も重要なのが
この“住民”という言葉です

対象となるのは“人々”ではなく
“住民”なのです

これは勿論 ある領域に
“住んでいる”のは人間だけでなく
その他の種も含まれるという
認識のもとで成り立つ考え方です

また生命は連鎖するという
根本認識のもと
その破壊は私たちの住む地をも破壊し
平穏な営みを続けることを不能にすること


2つのエコサイド


エコサイドには
2つの種類があります

人為的なエコサイド




これは 私たちの行動が明確に
大規模な損害や破壊をもたらすと

予期され また確認されていても
行われる行為を指します

また すでに他の方が話されたように
他の形においても
人為的に起こされたものが
いかにして損害を生じさせているか

地球温暖化ガスの発生も 大規模な
損害と破壊がもたらす一つの結果です

実はつい最近
各国政府宛に
この法律をどう扱うかについて
コンセプトペーパーを送ってみました

人為的なエコサイドを生じさせている
危険な産業活動に

終止符を打つ方策として

でも もう一つのエコサイドも
知っていただきたいのです




それは
“自然発生的なエコサイド”です

これは 津波や 洪水や
海面の上昇など
大規模な生態系の崩壊をもたらす
あらゆる事象をいいます

単に企業活動を
制御する法ではなく
すべての国に 何らかの方法で
他国を支援するという
法的な“注意義務”を課す
国際法を作るのです

たとえばいま現在 モルディブ諸島は
私たちに こう叫んでいます

“助けてください!私たちはあと10年もすれば
海面上昇により沈んでしまうのです!”

これに対して各国政府は
“いかんともしがたい”と応えるだけ

彼らが主張しているのは “支援を行う
法的注意義務はない”ということなのです


法的に“注意義務”を課すエコサイド


エコサイド法を作ることで
こうした事態に共同で取り組み

事態を予防する法的注意義務を
各国に課すことができるのです

実際 海面上昇の危機に喘ぐ島国は
54か国もあるのです

しかも問題は
その54か国のみではありません

バングラデシュは 洪水や
海面上昇だけでなく
氷床の融解という危機までも
抱えているのです

法的“注意義務”を課すことで
支援のために何ができるかなどについて
具体的な協議を行う場が
設けられるのです

こうしてともに取り組む場があることは
とても大切なことです

なぜなら最終的には
たとえ世界の裏側の国であろうとも
私たちは運命共同体だからです


環境犯罪にも“上官責任”を


しかし私はさらに
こう提案しています

国際刑事司法では“上官責任”
という原則があります

責任を取ることは当然ですが
さらにもう一つの意味があります

つまり 管理責任 統率責任のある人物
ピラミッドの頂上にいる人たちですね

彼らに最高意思決定者としての
責任を求めるということなのです

すなわちこれは 国家元首や
政府閣僚を意味します

また数百万もの下々の人々に
悪影響を及ぼす可能性のある
決定を行う立場にあるCEOや重役
銀行の頭取なども含まれます

これらの個人に対して
法的な“注意義務”を課すことで
「人々と地球が最優先」となる
意思決定を行う
新たな枠組みを
構築することが可能なのです

これにより 危険な産業活動に
終止符を打つことができます


究極的には、地球をどう見るか


最終的には 地球をどう見るか
という問題に落ち着きます

地球を不活性なモノとして捉え
これに価格を付け
価値を押し付け
すなわち地球を 売買したり
利用したりと 悪用し
商品化するのか

資産に関する法律によって
成り立つ世界ではそうなります

一方で もう一つの見方があります
地球を一個の生物として見ることです

こうして見方を変えると 実は
その源がまったく違うことに気付きます

というより 長期的な視点での見方が
ガラリと変わってしまうのです

なぜなら 私たち自身を被信託者
あるいは保護者として捉えると
将来の世代について責任を負うことの
自覚が湧いてくるからです

正義の秤を再調整するということなのです

現在 正義は不調 あるいは
不均衡な状態にあります

そして私たちには この不均衡を
正すことができるのです

実は私たちはこれをすでに経験しているのです
200年前に遡ってみましょう


奴隷制を廃止した実績


200年前 英国議会に
ウィルバーフォースという議員がいました

彼は奴隷制廃止を訴えて
こう言いました

“奴隷制は倫理的に間違っている
これを止めなければならない”






彼には批難が殺到しました




大企業は

“そんなことしてはならない

「必要」があってしているからだ”

「公共の需要」もある そして何より
奴隷制がなくなれば「経済が破綻」してしまう”

奴隷制に関わっていた300の企業は
様々な解決策を提案しました

“私たちに任せてください 任意で解決します
「自主規制」させてください”

“法律が多すぎます”

“どうしようもなくなったら
数を制限します それでどうでしょう?”

“市場原理に任せるという手もあります
キャップ&トレードのようなものはいかがでしょう?”

興味深いことに 英国議会は
すべての提案に「ノー」を突きつけました

そしてウィルバーフォース議員の亡くなる
実に2日前 法案は可決されます

この法律は 成立した途端に世界中に波及し
奴隷制が廃止されたのです


200年後も変わらない企業の本質


さて現在に視点を戻すと 私たちは実は
とても似た状況にいることがわかります

この画像の中の現実は
まったく違います




これはカナダの
アサバスカのオイルサンド(油砂)

この画像を見たとき
私は心臓が止まる思いがしました

路上で
立ち尽くしてしまったのです

そこで何が起きているかを悟った私は
“これは犯罪行為だ”と思わず呟きました

結局 現代においても
産業の主張は全く同じなのです

違いがあるとすれば 彼らの解決策はすべて
トライ済みで すべて失敗しているということです


企業を破産させることが目的ではない


奴隷制の廃止が成功した理由の一つに
統制されていたことが挙げられます

制度の移行期間が設けられ
どの事業も倒産しなかったのです

またウィルバーフォース議員は
私と同じ矜持を持っていました



大企業を倒産させることが目的ではなく
問題を解決策へと転換することに軸を置く
ということ

奴隷制の廃止にしても 300社のうち
一社も倒産しなかったのです

ある企業は中国でお茶を売り買いし
そのために助成金を得ました

海上警察へと発展した
企業もあります

ウィルバーフォース議員は 成功には
3つの必須条件があると言っていました



  1. 助成金を停止する
  2. 問題行為を違法化する
  3. 別の方面へ助成金を出す


まさしく現代において
私たちがすべきことです

でも さらにあるんです


「神聖なる信託」(国連憲章)に基づく義務


人類の歴史の中で

「文明の神聖なる信託」と呼ばれる
考え方が存在したことがありました

この概念は 私が調べたかぎりでは
16世紀から文書の形で存在していました

そしてこの考えは 国連憲章(第73条)にも
掲げられているのです


「…国際連合加盟国は、この地域の住民の利益が至上のものであるという原則を承認し、且つ、この地域の住民の福祉を(中略)最高度まで増進する義務並びにそのために(中略)行う義務を神聖な信託として受諾する。」 


第2次大戦後 初めて成立した
国際法律文書です

そこにはこう書かれています

国連加盟国には住民の利益を
(ここでもまた“住民”という言葉が)
至上のものとし 神聖なる信託として
"注意義務"を遂行する第一義の
義務(法的義務)を受託する と

“信託”

つまり 私たちは被信託者 管理者であり
保護者であるということなのですね

そして 住民の福祉を最高度まで増進する
義務を負っていると

つまり人々とこの惑星を至上のものとする
「健康と福祉」に関する保障規定なのですね

エコサイド法が成立すれば この条文に
法的有効性を持たせることができます

これは非常に大事なことです

なぜならエコサイドは 人道に対する罪
でもありますが それ以上のものだからです

自然に対する犯罪であり
将来世代に対する犯罪なのです

究極的には
平和に対する犯罪なのです



これは利益よりも 人々とこの惑星の福祉を
至上のものとするというだけでなく
紛争の無い世界へと踏み込むことで
革新を全く異なる方向から進め
多くの形の豊かさを手に入れることができる
という新たな認識を持つことに他なりません

私は利益追求を否定しません
むしろ 利益を肯定します

ただし生命の破壊をもたらすようなもの
これについては 扉を閉ざす時です

そして生命を肯定するものに対しては
扉を大きく広げ迎え入れます


7年間の旅路とこれからの旅路


こうして 私が非常にパワフルな考えに
辿り着いたのは 7年前のことでした

それは旅路の始まりであり
いまもその旅は続いています

エコサイドの国際法を提案する
というだけの話ではありませんでした

いま何が必要かを見つめる
貴重な旅路でした それは

適応可能なリーダーが必要ということ
時代に即応するリーダーが必要ということ

また「エコサイドを撲滅する」という
本の執筆にも繋がり
その中でなぜ法そのものが
問題であったかを解き明かしました


利益追求は企業の法的義務


みなさんご存じですか?

法人に関する法律は
利益を至上のものとしているんです

法人にはその株主に対して
利益の最大化を目指す法的義務があるのです

それは私たちにとっても
益をもたらしました しかし
その影響を 私たちは
十分に考えて来なかったのです


法の下の平等と正義の実現


超越法であるエコサイド法があれば
影響を考える機会を与えるような
行動する前に考える「事前警告規定」
の役割を果たすでしょう

最後に これだけ言わせてください

キング牧師はかつてこう言われました


法の下の平等と正義が成り立てば
この世界に真の平和が訪れるだろう
法の下によりよい理解が成り立てば
真の平等と正義が得られるだろう

エコサイドは 自然の正義の下に成り立つ法です

私はその実現のため 生涯 自分の命を
なげうつ価値があると信じています

ご静聴ありがとうございました

--

※巻末資料:「3分で解る『エコサイド撲滅運動』欧州編」





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2013/08/06

《和訳》ロイター8/5英語版『福島第1の汚染地下水、遮水壁を突破して地表に向かっている=原子力規制庁』

福島第一の汚染水問題は「非常事態」と規制当局者
Watchdog says radioactive water at Fukushima an emergency


2013年8月6日 06時45分

[東京 5日 ロイター]東京電力が汚染水の流出防止に取り組む同社の福島第1原子力発電所で生じた放射能汚染地下水について、原子力規制当局の関係者は5日、事態は「非常事態」にあるとの認識を示した。

原子力規制庁の金城慎司・東京電力福島第1原子力発電所事故対策室長はロイターに対し、法定基準を超えた水量の汚染された地下水が、地中の遮水壁を突破し、地表に向かっているとした上で、東電の地下水くみ上げ計画は一時しのぎにしかならないとの見方を示した。

東電の「危機感は薄い。だから東電のみに任せておけない。現状は非常事態と見る」金城室長はこう語る。

2011年の震災時に生じた大規模な津波に破壊された福島第1原発について、電力事業者の東電は、津波や地震に対する備えと、その後に起きた原子炉のメルトダウンへの対応のずさんさを厳しく非難されてきた。またそうしたずざんな対応を隠蔽してきたとの指摘もある。

現時点では、汚染地下水がどの程度の脅威となるかは明らかにされていない。震災直後、日本政府は東電に対し、緊急措置として数万トンの汚染水を太平洋に放出することを認めていた。しかし、近隣諸国や地元の漁業関係者から批判を受けため、東電には、地元の同意なく汚染水を放出しないと関係者に約束した経緯がある。

「流出している汚染水の正確な濃度と容量がわからないかぎり、海洋への影響について憶測で語ることはできない」東京大学大気海洋研究所・国際連携研究センターの植松光夫所長はこう前置きした上で次のように語った。

「海水におけるそれぞれの程度を計測する必要がある。もし、流出が湾内に限定され、海に流れ出していないのならば、一部が懸念するように汚染が拡大することはないかもしれない」

行き場のない汚染水

東電側は、汚染流出を防ぐべく様々な方策を講じていると主張する。同社広報担当がロイターにメールで寄せた声明によれば、同社は、「福島県の住民のみなさま、周辺地域の住民のみなさま、そして広く日本社会のみなさまに大変な不都合、迷惑と心配をかけていることを心より深くお詫び申し上げている」

東電では、福島第1原発が置かれる場所の山側から、原発施設内の大破した建物に流入する地下水のうち1日平均400トンの汲み上げ作業を行っている。この地下水は、原子炉を摂氏100度以下の安定温度に維持するために使用される高濃度放射能汚染された冷却水と混じり合う。同社はバイパスを作って地下水の施設流入を防ごうとしてきたが、最近になって海水における放射性物質の濃度が急激に上昇していたとが発覚したため、「汚染水が海に達している」という、同社が数か月間にわたって否定してきた事実を認めざるを得なくなった。

太平洋への汚染水の流出拡大を防ぐ手段として、施設の作業員らは原子炉1号基の建屋が置かれている岸壁近くの土を薬剤で固めて地下に遮水壁を造った。ただし、遮水壁は地下1・8メートルより深い部分にしか造れないためその効果には限界がある。遮水壁を突破した汚染水は、地表の薄い表面を通じて浸透し近場の海に流れ出る。より深刻なのは、水位が地表へ向けて上昇していることだ。地表に達せば、流出はさらに加速する。

「壁を造れば当然そこに水が溜まる。溜まった水は行き場を失い上か横に広がるしかなくなり、最終的には海に出ることになる」

複数の東電の原発で作業した経験を持つ元東芝・原子炉格納容器設計者の後藤政志氏はこう語る。

「だから問題は、あとどのくらい持つかにある」

朝日新聞が3日に伝えたところによれば、「このままのペースで上昇すれば3週間で、水が地面にあふれ出す計算」となる。原子力規制庁の金城室長は、この「3週間」という推測は規制庁の計算によるものではないと前置きした上で、仮に汚染水が地表に達したと仮定した場合、「その流れは大変に速いものとなるだろう」と語る。

東電の関係者は1日、今週末辺りから1日約100トンの単位で地下水のくみ上げを実施する計画だと説明した。これに対し規制委の「汚染水対策検討作業部会」は2日会合を開き「海中への流出を防ぐためには新たな手段を講じる必要があるとの結論を下した」と金城室長は語る。

東電は2日、事故以来、推定で20兆~40兆ベクレルの放射性トリチウム(三重水素)が海に漏れ出したとする試算結果を発表した。同社によれば、これは法律で許容される基準内だという。トリチウムは、東電の原発施設内から放出されたセシウムやストロンチウムに比べ危険性は低いとされる。同社はストロンチウムの流出量についても今後試算する予定だ。

トリチウムが長期にわたり漏れ出していたことを東電が認め、規制当局があらためてこれを厳しく批判したことは、総額110億ドル(約1兆円)の費用がかかる同社の後始末を行う上で、セシウム等の放射性物質で汚染された地下水を海に漏れ出さないようにするという、根本的な課題の解決がいかに危うい状況にあるかを示しているといえる。



元記事:EXCLUSIVE-Japan nuclear body says radioactive water at Fukushima an "emergency"
REUTERS, Mon Aug 5, 2013 8:00am EDT
ロイター日本語版 2013年 08月 5日 21:12 JST
翻訳・追加調査・補足: Office BALÉS NEWS 

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2013/08/04

コメント:麻生発言問題についてハフポス日本語版に寄せたコメント

麻生太郎氏「ナチス」発言を撤回 「誤解を招く結果となった」
(2013年8月1日付けハフィントンポスト)


麻生氏は撤回声明ではメモを読み上げながらこの前段にある部分について仰っていたんですが、文字起こしをしてみてわかったのは「静かにやる」ことを肯定されていることです。おそらく麻生氏の中では、「喧噪の中で静かに」ナチス憲法が制定されたという理解なのでしょうけれども、それは誤った認識です。
実際は喧噪のない中で整然と、粛々と憲法の無効化が進められ、全権委任法により議会ではなく政府に立法権が委譲されたなかで憲法はその効力を実質的に失いました。この根本的な理解が麻生氏(仮にも一国の副総理)には欠けているのです。その程度の認識でナチスを、たとえ反面教師であっても、一知半解に語ったことに問題があるのです。

↑以上は自身で投稿した日英字幕付きの動画でのコメント




↓さらに詳細にハフィントンポスト英語版ににコメントした。日本語版でコメントしたものがブログに自動反映される筈だったが、されなかったので、補足付きで意訳したものを掲載する。

--

麻生氏が“ブラックジョーク”として行った発言と、その発言を撤回するときに発表したコメントは、全く別のものである。

前者は、改憲を是とし推進する超保守的なシンクタンク主催する改憲支持者が多く集まる私的講演会で行われた内輪ウケするブラックジョークであり、その発言の意図は「我々も“彼ら”のように静かにやろうではないか?」というものであった。後者は、国内社会的にも国際社会的にも通用する模範的な説明を読み上げたものであり、本人の意図するものではなかった。したがって謝罪も訂正もなかった。

麻生氏の講演内容には、歴史的事実に対する自身の理解を披露する上で2つの決定的誤認がある。ひとつは、ワイマール憲法がナチの全権委任法(※この法律はナチが作ったものではなく既存のワイマール憲法上の法)の適用により“改正”などされることなく無効化されたという事実。もうひとつは、この全権委任法により、“静か”な体制の転換が、十分な国民的議論やマスコミの“ワーワー”といった“喧噪”が起きることなく可能とされたということ。

麻生氏は講演での発言で、マスコミが“ワーワー”と騒ぐことが問題を大きくし、たとえば靖国参拝については隣国の中国や韓国の注意を引き過ぎてしまったことを例に挙げた。その上で、憲法改正に関する国民的議論はそうした“喧噪”のない中でじっくりと行われるべきだとした。

これは、撤回時に読み上げたコメントの趣旨とはまるで異なる。

この矛盾について、正式な抗議声明を発した在アメリカのユダヤ系人権擁護団体『サイモン・ヴィーゼンタール・センター』の副所長であるエイブラハム・クーパー師は見逃していない。毎日新聞のインタビューでクーパー師は、こう述べている。

「正反対のことを話そうとした。もう少し説明してもらいたい」

麻生氏の、“内輪ウケするブラックジョーク”に関する発言撤回のコメントや説明は、その“ジョーク”に最も傷ついたユダヤ人コミュニティにとって納得に足るものではなかったということだ。最後にクーバ-師はインタビューでこう述べている。

「広島、長崎、ナチス、大虐殺でジョークが入り込む余地はない」

反論できる日本人がいたら・・・
いや人間として、その方がおかしいと私は思う。


オマケ:ある映画が伝える警鐘とメッセージ

2013/08/01

報道比較:麻生副総理の「ナチス」発言を巡る国内外の解釈 Comparison of media reports on Deputy PM Taro Aso's 'Nazi' remarks

  • FULL REMARK (ENGLISH) *Not a word-by-word dictation and/or translation.
  • 発言の詳細 (JAPANESE) ※但し、一字一句の精緻な書き起こしではない。



麻生副総理が29日に都内の講演で発言したとされる内容の国内外での報道内容は次の通り。National and foreign media reports on the DPM Taro Aso's speech made in Tokyo:

麻生副総理の撤回表明後に行ったまとめ(8/2追記)
Compilation of tweets on retraction of the remarks (Japanese only)



《音声/AUDIO》



《日本/JAPAN》


読売新聞
改憲「狂騒、狂乱の中で決めるな」…麻生副総理


「ワイマール憲法もいつの間にかナチス憲法に変わっていた。あの手口を学んだらどうか。(国民が)騒がないで、納得して変わっている。喧騒けんそうの中で決めないでほしい」

東京新聞
あの手口を学んだらどうか 麻生氏の発言要旨


 「静かにやろうや」ということで、ワイマール憲法はいつの間にか変わっていた。誰も気がつかない間に変わった。あの手口を学んだらどうか。僕は民主主義を否定するつもりもまったくない。しかし、けん騒の中で決めないでほしい。

朝日新聞
麻生副総理の憲法改正めぐる発言内容


「憲法はある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口に学んだらどうかね。わーわー騒がないで。本当にみんないい憲法と、みんな納得してあの憲法変わっているからね。ぼくは民主主義を否定するつもりはまったくありませんが、私どもは重ねていいますが、喧噪(けんそう)のなかで決めてほしくない。」

産経新聞
「本人が答えるべきだ」麻生氏発言に菅長官


「ドイツのワイマール憲法はいつの間にか変わっていた。あの手を学んだらどうか


WSJ日本語版
「ナチスの手口に学べば」─麻生氏、改憲めぐり発言


「ドイツのワイマール憲法もいつの間にかナチス憲法に変わっていた。誰も気が付かなかった。あの手口に学んだらどうかね」(時事)

《韓国/KOREA》(日本語/JAPANESE)



中央日報
【社説】ナチス式の憲法改正に言及した日本の極右政治家


「ドイツのワイマール憲法は(ナチスによって)誰も知らないうちに変えられていた」「この方法を参考にしてはどうか」

東亜日報
麻生副首相「ナチスのように誰も気がつかない間に改憲を」

「ドイツのワイマール憲法はいつの間にか変わっていた。誰も気がつかない間に変わった。あの手口を学んだらどうか」 

《中国/CHINA》(日本語/JAPANESE)


中国網日本語版(チャイナネット)
麻生副総理がナチズム称賛、国際社会から非難集中=中国報道


「ドイツのワイマール憲法は誰も気づかないうちにいつの間にかナチス政権の憲法に変わっていた。その(ナチスの)手口を学んだらどうか。そうすれば、(国民は)騒ぐこともなく、(憲法改正を)受け入れるだろう」

《ロシア/RUSSIA》(日本語/JAPANESE)

 VOR(ロシアの声)
麻生副総理 日本憲法の「ワイマール式改正」を求める


「ドイツのワイマール憲法はいつの間にか変わっていた。誰も気がつかない間に変わった。あの手口を学んだらどうか