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2014/09/26

【宣言】"HeForShe"キャンペーンに賛同する Declaration of support for #HeForShe



※お断り:申し訳ないが翻訳者なので文中の引用は独自訳にさせて頂いた。ハフポスやBLOGOSの訳の解釈で賛意を表明している訳ではなく、原文に対し賛意を表しているのだということを予めお断りしておく。

*ENGLISH VERSION TO FOLLOW

ワトソン大使の国連演説(ハフポス)

よりよいと思われるオススメの訳文(BLOGOS)
http://blogos.com/article/95137/


ワトソン大使を脅迫する"4ちゃねらー"(ハフポス)

JAPANESE  

"HeForShe"キャンペーンに賛同する。


男尊女卑的な考えを信奉する人間には、このキャンペーンの名前自体が挑発的に聞こえるのかもしれない。だが私は、よく考えられた末、「彼」も「彼女」も漏らさない"inclusive"な キャンペーン名として採用したのだと思う。単純な考え方をする人間は、英語でも日本語でも、「彼女のために彼が」と、男性が"下"になっていると捉え反発するのかもしれないが、そういう人間に無理にこの運動の大義や意義を理解してもらう必要はないと思う。

この運動の推進役であるワトソン親善大使を脅迫している4Chanの輩は、日本での最近の流行の言葉でいえば、真の意味(最近の誤用ではなく)で「下衆の極み」といえる連中だ。彼らの行っていること、行おうとしていることには、一片の正当性もない。犯罪行為でしかない。もし彼らの動きに同調する動きが日本でも見られたら、その輩も彼らと同類だ。断じて許されるべき行為ではない。

4Chanの輩が行っていることは行き過ぎであり、犯罪でしかないが、かといってこの運動に反対することが咎められるべきことではない。この運動は地球規模の社会的変革(意識改革)を求めるものであるが、その大義や意義が理解できない者、改革を拒む者、旧来の価値にすがりたい者は、そうする自由がある。

ただ、社会の中で改革派が大勢を占めたら(そして全世界の女性人口の比率とそのマーケットパワーから必然的にこれは起こり得る)、いつしか自分の考え方は来るべき社会の中で孤立していることに気づかされるだろう。そうして孤立した者同士で徒党を組み、抵抗を続ければいい。それは各人の自由である。

それでも、

"No country in the world can yet say they have achieved gender equality."
「世界中のどこにも、男女平等を確立したと胸を張って言える国などありません。」

というワトソン親善大使の言葉は事実だ。

また、

" if we do nothing it will take 75 years, or for me to be nearly a hundred before women can expect to be paid the same as men for the same work"
「もし私たちが何もしなければ、今後何十年か先、私が100歳近くになっても、女性が男性と同じ仕事をして同じ報酬を得る時代なんて、来ないかもしれません」

という言葉もそうだと思う。

このままでは百年経っても、男女平等社会など実現しようもない。いくら野心的な政治指導者が、支持率欲しさに、あるいは次期アメリカ大統領の再有力候補に擦り寄る戦略のために「女性の活躍」を政治的に利用しようとも、いくら一部の大企業が賛同して小手先の改革を実施しても、それはワトソン大使がいうような、全ての女性が『社会的に男性と同じくらい尊重される』こととは、同義にはならないだろう。

もう、社会を改革するのを政治や企業任せにはできない。国連という国家の集まりから初めて発せられるこの地球規模の社会運動は、エマ・ワトソンという女優・活動家の声を借りて、「一人一人が参加する」運動となる。私は喜んで、その「一人」となりたい。

私は、彼女のいう「隠れフェミニスト」だったのか?

恥ずかしながら、今日、ワトソン大使の演説文を読んではじめて、『フェミニズム』の明確な定義を知った。

どうやら、ずっとそうだったようだ。

では、「隠れフェミニスト」であることを恥じるべきなのか?

これまで自身で、行き過ぎたフェミニズムのことは行き過ぎた男尊女卑と同じように嫌悪していた。そのためフェミニズムそのものに興味も関心も抱かなかった。

だが男女の均衡がこれだけの長い間(有史以来といっても過言ではない)、不均衡であったのならば、それは是正されるべきだし、この不均衡を直すために、フェミニズムの定義でいう「男性と女性が平等な権利と機会を持つべきだとする主張」や「両性の政治的、経済的、社会的平等を求める立場」が必要ならば、私は"同類"として、喜んでその主張を掲げ、その立場で理路武装しよう。

だからワトソン大使が独自のひねりを加えて新たに解釈した、エドモンド・バーク卿が言った言葉は、私には普遍的な価値を持つ。

"All that is needed for the forces of evil to triumph is for enough good men and women to do nothing."
「善良なる"男女"が行動しなければ、必ずや悪に打ち負かされる」

ならば、行動しないではいられない。
早速、今から世界の"大勢の中の一人"に加わろう。


ENGLISH





Declaration of support for Emma Watson's UN #HeForShe Campaign


For those who are believers of male-dominated society, the name of this campaign itself may appear to be insulting or even provoking. But I for one think it is a well thought-out name which has an 'inclusive' purpose to leave no 'he' or 'she' behind.

Those who tend to think in simple terms, in both English and Japanese translation ('kanojo no tameni karega'), may resent the sheer sound of male being 'beneath' the female, but I think we don't need to seek their appreciation for the value or the significance of this campaign.

The "4 Channeller's"--as we call in Japan for the same for the "2Chan" users--who are threatening H.E. Amb. Emma Watson, the promoter of this campaign, to expose her with nudity, can be called in Japan's popular (but wrongly used) phrase as 'gesu no kiwami' or 'scums of the earth' in its truest sense. What they are doing, or intend to do, has no social justification whatsoever. It is a criminal act.

If there are any in Japan who resonate and follow their footsteps, then theirs shall be regarded the same. It is an unforgiveable act.

The acts perpetrated by the "4 Channellers" have gone too far and they can only be regarded a criminal act. However, this does not presuppose that those who oppose this movement shall be condemned in the same light.

This movement is about a socio-economic reform (awareness raising) of a global scale. Those who cannot appreciate the significance of it, or who resist any kind of reform, or who want to cling on to the 'traditional values' are free to do so.

However, if the 'reformists' were to hold the lion's share of the global opinion (and given the obvious global demographic advantage of women versus men in terms of market power), one day those people will find their way of thinking become isolated and detached from the society.

Of course, these isolated individuals can then form a group or something and resist the movement. They should still be free to do so.

Nevertheless, Ms. Watson's words, saying:

"No country in the world can yet say they have achieved gender equality,"

is a universal fact, as much as her other words stating:

"... if we do nothing it will take 75 years, or for me to be nearly a hundred before women can expect to be paid the same as men for the same work."

At the current rate, we will never be able to achieve a true equal society for all men and women. Not in 100 years.

No matter how aggressively an ambitious political leader taunts "opportunities for women" either for higher ratings or as lip service to the most potential future American Presidential candidate or how much the Big Companies in agreement invest in the superficial internal ‘reforms’, it is NOT equivalent to what Ms. Watson refer to as having "afforded the same respect as men" to all women.

We can no longer rely on politics or corporate interests to define social reform.

Even though this campaign is initiated through the UN--a body of states, this global social movement is emanating from a single voice of one Ms. Emma Watson, an individual, who is a world-renowned actress and activist that enables "everyone" who is willing to participate in this endeavor.

I'll gladly sign in as part of one of those "everyone".

So does that make me an "inadvertent feminist"?

It appears I have always been.

Embarrassingly though, if not for Amb. Watson's speech, I would have never known the clear definition of the term "feminism".

So should I be ashamed that I AM an "inadvertent feminist"?

I despised extreme feminism as much as I despised extreme sexism in the same light. So I never was really interested or intrigued by feminism itself at all.

But given that the balance between men and women has been so disproportionate for such a long time--perhaps since the dawn of mankind, it needs to be rectified.

And if what is needed for this rectification of balance is "the belief that men and women should have equal rights and opportunities" and a "theory of the political, economic and social equality of the sexes," as feminism is defined for, then I will with delight uphold that belief as the 'same kind'.

Edmund Burke's re-interpreted words by H.E. Ambassador Emma Watson now have a more universal tone to me, thanks to her original tweak.

"The only thing necessary for the triumph of evil is for good men 'and women’ to do nothing."

Then I shall not stand doing nothing.
I shall count myself in with the global "everyone". Now!

2014/09/23

【悲報】コラム: 慰安婦問題で展開される不毛な論証・反証のいたちごっこを永続させる要因は、日本人の低い英語読解力だった。(完全版) #主戦場




はじめに


この件についてはこれまでも何度も述べているが、従軍慰安婦の問題を”強制連行”のみの観点で「その事実はなかったので問題なし」として、”強制”の事実そのものが全くなかったかのように論じる連中は鬼畜である


朝日叩きで狂喜乱舞している、そうした鬼畜どもをまた黙らせる材料が今回、ネット上に再び登場したことは喜ばしい。

一般的に、"強制"とは「力を用いて他者を無理に従わせること」と解される。この"力"にも色々とある。軍人ならその威圧感だけで強制することも容易いが、組織的には行政を操る"力"により手続上、有無を言わさずその対象者を従わせることもできる。二次大戦中、この"力"をもっとも悪用したのがナチスだ。

ニュルンベルク裁判では、この行政手続により数々のユダヤ人虐殺計画がドイツ第三帝国政府により主導されたことが判明した。それもこれも、ドイツ人が病的なほどに何でも記録する国民性のおかげだった。これは、当時判事を務めたアメリカのジャクソン首席判事が米軍の記録映画の中で認めている。

日本の場合、こうした行政記録は混乱のさなか見事に消されている。本土で陸戦が行われず、連合軍の電光石火の占領に見舞われたドイツに比べ、証拠を隠滅する時間が豊富にあったからだ。ドイツと違い日本が非人道性の観点から裁かれなかったのは、それを指し示す十分な”証拠”が存在しなかったからだ。その”事実”が存在しなかった訳ではない。

慰安婦・兵士当人の”証言”の不確実性


二次大戦において”不問”とされた旧日本帝国軍の人道犯罪だが、現代においては国際女性戦犯法廷なるものが民間で設置され、いまも犯罪性の追求は世界規模で行われている。これを先導してきたのが、被害者女性や日本兵士たちの証言を収集・記録してきたアジア資料センター(アジア女性基金)等の女性人権擁護団体だ。

しかしこうした資料集めは困難を極めた。信頼できる証拠とするには、不十分な要素が多かったからだ。例えば、兵士証言や慰安婦証言の食い違いにより事実が検証できなくなったりする。同じ立場の証人同士が真逆の証言をして事実の確認を困難にすることが往々にしてあるからだ。

結局、軍による「強制」の否定派と肯定派の間で、証拠の証明合戦がいたちごっこのように続き、現在に至っている。否定派は慰安婦らが自由意思で就労した、或いは現地の人間が任意で仲介役を果たして奉仕させたことを示す証拠を持ってきて反論する。だがいずれも"強制”の「全否定」に繋げるには弱い。

一方で、”強制"の事実に関しては日本人女性含め慰安婦側からの証言と、慰安所を利用した兵士側の証言が出そろう。兵士自身が慰安婦は何らかの”強制”され就労を余儀なくされていることを認めているのだ。これはそれぞれの兵士個人の慰安婦に対する価値観も大きく影響するのだろう。

「吉田証言」を巡る国連報告書の翻訳の質


こうして”強制”の否定も反対もこう着する中で一石を投じたのが、朝日のいわゆる『吉田証言』を巡る一連の報道だった。大手新聞社が決定的といえる証拠を挙げて大々的に報じたため、「吉田証言」は”強制”肯定派の1つの拠り所のようなものになった。が、それが全てではなかった。だから国際的には吉田証言は、”数ある証言の中の一つとして”のみ捉えられている。

嘆かわしいことに、そのことに現政権を含め政府翼賛系メディアや一般の"強制"否定派も気づかない。否、気づけないのだ。「吉田証言」のみが"強制"肯定派の唯一の拠り所だと勘違いしている、或いは思い込んでいることに気づかないのだ。そこに、こうした足元を掬う新証拠が現れる。また連中は躍起になって反証を探し求めるだろう。

だが哀しいかな、国連のクマラスワミ報告でも取り上げられているのは、「吉田証言」のみではない。今回判明しているような兵士や被害者の証言・記録などなのである。

当時のコフィ・アナン事務総長により任命され国連人権委員会の特別報告者を務めたスリランカのクマラスワミ元国連事務次長の報告は、日韓両国の訪問調査による報告をまとめたものであるが、国連の報告はいちメディアの報道を鵜呑みにはせず現地聞き取り調査による結果をまとめた。よって、"強制"肯定派が国内的に拠り所とされていると思われている「吉田証言」の位置付けはそれほど高くない。

事実、「クマラスワミ報告書」で吉田証言に直接言及されているのは、37ページある報告書のうちほんの2か所(1センテンス)のみで、1か所(第29パラグラフ)は吉田氏の著書に触れ、「強制連行」の根拠の一つであるという記述になっているが、もう1か所(こちらは第40パラグラフ全体)はこの4倍の分量(4センテンス)でその反証を掲載しており、これを特別報告者は「留意」していると報告書に明記している。 英語原文 AWF訳文 

このことを、政府も含め”強制”否定派は、知ってか知らずか盲目的に批判している。

その原因の一つは、どうやらアジア女性基金(AWF)の旧い翻訳の質にあるらしい。

私のようなプロの翻訳者の目からして、AWFの翻訳の品質はお世辞にも高いとはいえない。およそ公式な報告書とは思えない語調になっており(「~かもしれない」等)、訳文の表現は情緒的であり、客観性を欠き、乱暴である。

翻って原文の英語の報告は格調高く、注意深く言葉を選んで構成されている。のちの国連事務次長として事務総長自らに任命された職なのだから、慎重を期すのも当然だろう。国連の六大常設機関の一つである経済社会理事会傘下の専門委員会として出す報告に客観性を欠いた感情移入は許されない。

AWFの翻訳の質の低さは、例えば次のように、第40パラグラフの「吉田証言」に対する反証に言及している箇所の冒頭にもみられる。

【原文】 40. The Special Rapporteur noted that historian Dr. Ikuhiko Hata of Chiba University, Tokyo, refuted certain historical studies made on the issue of "comfort women", in particular Yoshida Seiji’s book, which describes the plight of "comfort women" on Cheju-do island.
【AWF訳】 40. 千葉大学の歴史学者秦郁彦彦博士は「慰安婦」問題に関するある種の歴史研究とりわけ韓国の済州島の「慰安婦」がいかに苦境に置かれたかを書いた吉田清治の著書に異議を唱える。
【私の改訳】 40. 特別報告者は、千葉大学の歴史学者である秦郁彦彦博士が、「慰安婦」問題に関する一部の歴史研究、とりわけ韓国の済州島の「慰安婦」の苦境について書かれた吉田清治の著書に対する反証を展開していることに留意する。

また否定派と肯定派の間で壮絶な編集合戦が行われていると思われるWikipediaなどでは、第29パラグラフ(吉田証言に1センテンスで言及した箇所)について言及している編集者がいるが、これも決して前後の文脈を考慮した構成にはなっていない。しかもその訳文はAWF訳のものをそのまま採用している。

【原文】 Moreover, the wartime experiences of one raider, Yoshida Seiji, are recorded in his book, in which he confesses to having been part of slave raids in which, among other Koreans, as many as 1,000 women were obtained for "comfort women" duties under the National Labour Service Association as part of the National General Mobilization Law.
Wiki/AWF訳】 強制連行を行った一人である吉田清治は戦時中の体験を書いた中で、国家総動員法の一部である国民勤労報告会の下で、ほかの朝鮮人とともに1000人もの女性を「慰安婦」として連行した奴隷狩りに加わっていたことを告白している。
【私の改訳】  さらに、強制連行を行った一人である吉田清治は、国家総動員法制下の国民勤労報告会の任務として、ほかの朝鮮人とともに1000人もの女性を「慰安婦」として連行した奴隷狩りに加わっていたことを戦時中の体験を綴った自著の中で告白している。


流石に、日本政府がAWFの訳を鵜呑みにしたまま国連に反論したのだとは思いたくないが、現在ネット上に溢れている慰安婦問題に関する論証・反論が概して、こうした質の低い翻訳に基づいて展開されていることを考えれば、いわゆる”ロストイントランスレーション((飜訳の過程で生じる本当の文意の消失)”の中でどれほどの事実が失われ、対立する双方の中で誤った認識に基づく議論が展開されているかという不毛な現実が見えてくる。

日本人の間で行われる国際問題に関する議論等というのは、得てしてこの程度のものである。

ここにきて、政府は国連広報を強化すると宣言しているが、国連の広報機関として日本に本部を置く国連広報センターをこれまで十分に機能させてこなかったのは、歴代政府の責任だ。それは第一次安倍内閣も同罪。

クマラスワミ報告にしたって、反論を呈しながら国内に政府の正規の翻訳がないということ自体笑止千万。あり得えない怠慢である。

ただ、それができないのには理由がある。人材が居ないのだ。もっと正確にいえば、国際人材を育ててこなかった。そのつけが回ってきたからといって、今更「強化」とは、本当に笑わせる。

おわりに


事実の記録を丁寧に検証し或いは反証することによってしか、慰安婦問題の強制性を否定することも、肯定することもできない。強制性の事実を証明する圧倒的な数の証言や記録に対し、これを否定できる証拠や記録は少なすぎる。

一方で圧倒的な数の証言や記録の中にも客観性・信憑性・信頼性の点で問題は多く散見される。だから"強制"否定派は「吉田証言」一本に批判の的を絞ったのだろうが、「策士策に溺れる」とはまさにこのことだ。

今後もこうした個別具体的な証言・記録による強制事実の肯定とこれに対する反証は繰り返されることだろう。だがそのこと自体が、この問題が未解決であることを示しており、「吉田証言」が捏造と判明したことただそれだけで否定派が圧倒的に有利になった訳でないのである。

はからずしも否定派は、今回「吉田証言」のみに的を絞って、「1つが捏造なら全部捏造」戦術に出たため、国際的には足下を掬われる結果となっている。ましてやその主な標的となっている国連の報告の翻訳がこの品質で、かつ、この程度の品質の翻訳を鵜呑みにする程度の検証(語学)能力しかないのでは、不毛な議論は終わりそうもない。

その様相は、傍から見てもはや滑稽でさえある。
知らぬは当人たちのみというのもあまりに悲壮だ。

はじめて自分のコラムの題名で「悲報」というネット固有の嘲笑表現を使ったのはそのためである。

まったく嘆かわしいかぎりだ。


(巻末参考比較)「吉田証言」の反証を5センテンスにわたってを記載したC章「慰安所の状況」パラグラフ40のセンテンス毎の日英併記+改訳。


2センテンス目

【原文】 Dr. Hata explained that he had visited Cheju-do, Republic of Korea, in 1991/92 seeking evidence and had come to the conclusion that the major perpetrators of the "comfort women crime" were in fact Korean district chiefs, brothel owners and even parents of the girls themselves who, he alleged, were aware of the purpose of the recruitmentof their daughters.
【AWF訳】 秦博士によれば、1991年から92年にかけて証拠集めるために済州島を訪れ、「慰安婦犯罪」の主たる加害者は朝鮮人の地域の首長、売春宿の所有者、さらに少女の両親たちであったという結論に達した。親たちは娘が連行される目的を知っていたと、泰博士は主張する。
【私の改訳】 秦博士は、1991年から92年にかけて証拠集めのため自ら済州島を訪れ、「慰安婦犯罪」の主たる加害者は朝鮮人の各首長、売春宿の各所有者、さらに少女の両親らそれ自体であったと結論付け、また両親らは娘が連行される目的を承知していたと主張した。

3センテンス目

【原文】 To substantiate his arguments, Dr. Hata presented the Special Rapporteur with two prototype systems of recruitment of Korean women for comfort houses in the years 1937 to 1945.
【AWF訳】 その主張を裏付けるために、博士は本特別報告者に、1937年から1945年までの慰安所のための朝鮮人女性のリクルートは基本的に二つの方法で行われたと説明した。
【私の改訳】 博士はこの主張の裏付けとして、1937年から1945年までの間、慰安所が朝鮮人女性を徴用する方法については基本的に二つのモデルが存在していたことを本特別報告者に説明した。

4センテンス目

【原文】 Both models provide that Korean parents, Korean village chiefs and Korean brokers, that is to say private individuals, were knowing collaborators and instrumental in the recruitment of women to serve as sex slaves for the Japanese military.
【AWF訳】 いずれの方法も、両親や朝鮮人の村長、朝鮮人ブローカーすなわち民間の個人がすべてを承知で協力し、日本軍の性奴隷として働く女性をリクルートする手先となったというのである。
【私の改訳】 このいずれのモデルも、朝鮮人の両親や朝鮮人の村長、朝鮮人ブローカー、すなわち民間の個人が、すべてを承知で協力し、日本軍の性奴隷として奉仕する女性を徴用する役割を担ったことを指し示していた。

5センテンス目

【原文】  Dr. Hata also believed that most "comfort women" were under contract with the Japanese army and received up to 110 times more income per month (1,000-2,000 yen) than the average soldier (15-20 yen).
【AWF訳】 同博士はまた、ほとんどの「慰安婦」は日本軍の契約を交わし、平均的な兵隊の給料(一か月15-20円)よりも110倍も受け取っていたと考えている。
【私の改訳】 秦博士はまた、ほとんどの「慰安婦」は日本軍との契約下にあり、平均的な兵隊の給料(月15~20円)の最大110倍もの収入を得ていたと考えられるとした。

(※補足)秦氏はこの報告の公表の後で、報告書は自分の説明を誠実に反映していないと反論しているが、それは確かにAWF訳だけを見ればそう感じる。とくに4センテンス目で、AWF訳の「手先となったというのである」では、まるで秦博士がそう主張したように捉えられるが、正確には「役割を担ったことを指し示していた」という特別報告者としての所感を示しているのである。つまり、「すなわち」以降の文章は秦氏の説明を受けた特別報告者の解釈なのであり、そこに「解釈の誤りがある」と批判するのは筋が通っているが、「私はそんなことは言っていない。嘘だ」と主張するのは筋違いなのである。これも秦氏の英語読解力の問題か、あるいはAWFの翻訳に依存した結果に生じた一つの弊害だろう。

2014/09/10

衝撃レポート:「トモダチ作戦」に参加した米空母ロナルド・レーガンが深刻に被曝していたことを米海軍は知っていた(※PCモード推奨)

はじめに


米原子力空母 #ロナルド・レーガンの乗組員らの高線量被曝に関するGlobal Research研のこの2014年2月付の記事の元となったのは、同月電子政治科学ジャーナル紙Japan Focusに掲載された1つの論文だった。


JapanFocus論文は、主に米情報公開法(FOIA)に基づく米政府の公式資料をベースに構成されており、そこに記載された米海軍の通信記録から、米エネルギー省のポネマン副長官が自らが日本政府や東電の情報を疑い独自に情報収集していたことがうががえる。 http://t.co/B8D9Y8ztF7


この「通信記録」というのは、実は、米原子力規制委員会NRCの2011年3月13日付けの電話会議録の抜粋である。つまり、この時点で米国政府は、日本側の情報を信頼せずに独自に軍を使って情報収集を行っていた。テレ朝『ザ・スクープ』が報じた通りである。 http://t.co/LGZIwY0DDz


今回の2014年2月付のJapanFocus論文の発見は周回遅れだったが、これまで断片的にメディアで報じられたり専門家の分析で語られていたことが、ほぼ事実に間違いないことが確認された。現在、放射線疾患を発病した米兵らが東電を相手取り集団訴訟を起こしている背景が初めて明らかになったといえるだろう。


今回の事実の発覚で明らかになったのは、福島原発でメルトダウンと爆発が起きていた時、その周辺には4Svというとてつもなく高い線量の放射線が放出されており、その場にいた人間は全て高線量被曝したという事実だ。これは米軍だけではなく、自衛隊も、原発作業者も例外ではない。


事故後の中途半端な反省から生まれた原子力規制体制下にある今こそ、「福島の真実」を求め、事実の洗い直しが必要である。このレポートがその一助となることを願い全訳掲載する。



衝撃レポート:「トモダチ作戦」に参加した米空母ロナルド・レーガンが深刻に被曝していたことを米海軍は知っていた


2014年2月26日 12:05 am

著:Harvey Wasserman 訳:Office BALÉS (原文※リンク類は後日修正します。
衝撃的なレポートである。米海軍原子力空母『ロナルド・レーガン』の乗組員らが、約3年前、福島原発事故によるメルトダウンと爆発の前後に深刻な被曝をしていたというのである。 
もしこれが事実なら、乗組員らが東京電力を相手取って起こした 10億ドルに及ぶ巨額訴訟 の背景に新たな光を照らすものとなる。乗組員の多くはすでに、深刻な健康被害を被っているが 、東電と海軍の妨害工作を受けているからだ。
『ロナルド・レーガン』は2011年3月11日に発生した震災と津波の被災者救援のため数隻の艦艇とともに、『オペレーション・トモダチ』に参加していた。現場の証拠写真や個人証言から、同艦は2011年3月12日の時点で、福島第一原発から 約3.2キロ以内の沖合に展開していたことが確認された。丁度、原子炉がメルトダウンし爆発が始まっていた頃である。
吹雪の中、甲板の乗組員らは、金属的な味覚を伴う暖かい雲(プルーム)に覆われた。乗組員らの証言によると、船内アナウンスにより、5,500人の全乗組員に対して、脱塩処理された海水の摂取及び入浴が禁じられた訳注1: 巨大な軍艦では逆浸透膜濾過装置などで海水を淡水化して利用している)。巨大空母はその後、人道支援活動を直ちに中断し、さらに約160キロ外洋に移動した。新たに公開された海軍内の通信記録によると、この時艦艇は依然として高濃度の放射性降下物により被曝していた。
『ロナルド・レーガン』及び他の艦艇の乗組員らの多くは現在、太平洋やネバダ砂漠での原爆実験やスリーマイル島、チェルノブイリで風下に立った人々が経験したものを思い起こさせる多くの症例を訴えている。広島に原爆を投下した操縦士や、さらにはスリーマイル島の風下に位置するペンシルバニア中部の住民も、これに似た感覚(金属的な味覚)を 経験 したと証言している。原爆実験の対象となった南太平洋の環礁一帯は、60年が経った今も人の住めない場所となっている。
連邦集団訴訟を起こした81名の原告の中には、作戦着任前から妊娠していた者もいた。その女性の赤ん坊"ベイビーA.G."は10月に複数の遺伝子異常を持って生まれた。
東電や海軍は公式には、被曝線量は安全なレベルであったとしている。
しかし東京で活動するアメリカ人学者が入手した米海軍の通信記録は、海軍高官らは『ロナルド・レーガン』が深刻に被曝しているた事を把握していたという衝撃の事実を裏付けた。Japan Focus誌に掲載された論文 「Mobilizing Nuclear Bias(邦題「核に纏わる疑念を動員」)」で著者のカイル・クリーブランド(Kyle Cleveland)氏は、福島が深刻な事態に陥っていく中で日米両政府の間で行われたやりとりの様子を克明に描き出した。
この中でCunningham氏訳注2:唐突な登場だが論文著者のKyle Clevelandのことだと思われる)は、米情報公開法に基づき得た海軍高官同士の通信記録から、160キロ離れた沖合にいても、『ロナルド・レーガン』の被曝線量は 「通常、海上で検出される自然放射線に比較してもその30倍であったことが読み取れる」としている。
空母船内については、②「船内の警戒モニターは全て同じ数値を示し、船外については 「携帯測定器を持って甲板のフライトデッキで計測した時も同じ数値が得られた」 という通信記録が残されている。
放射性降下物の深い痕跡は、救援ミッションから帰還するヘリ部隊にも明らかに残されていた。Japan Focusの論文では、1人の匿名の米政府関係の専門家がこう述べたと書かれている。
③「100メートル離れた場所で(ヘリからは)毎時4Svが計測された。これは天文学的な数値である。私のような習熟した人間にとってこの数値が意味することは、炉心の水は既に蒸発していてメルトダウンがいま起きており、放射能の流出を防ぐ手立てが一切なくなっているということである。即ちこれは純然な、剥き出しの数値なのである」 ―2012年9月17日に行われた極秘通信内容より(訳注3:この値は2011年3月16日時点で、福島第一原発から100メートルの距離を偵察飛行中のヘリが計測したものである。)
③At 100 meters away it (the helicopter) was reading 4 sieverts per hour. That is an astronomical number and it told me, what that number means to me, a trained person, is there is no water on the reactor cores and they are just melting down, there is nothing containing the release of radioactivity. It is an unmitigated, unshielded number. (Confidential communication, September 17, 2012).11
この通信にはさらに続きがある。
④「約10時間以内に、甲状腺の問題が起きる」というのである。
In transcribed telephone conversations between U.S. based federal government officials, nuclear authorities, U.S. embassy officials in Tokyo and military staff in the Pacific Command (PACOM) made available through the Freedom of Information Act (FOIA), the U.S. government response to the nuclear crisis can be seen in real-time as it played out over the course of the first month of the crisis:
ADMIRAL DONALD: (...) Earlier this evening, as the USS Ronald Reagan was operating off the coast of Japan, we - the ship just arrived. We had given the ship some guidance as far as positioning was concerned to stay clear of the area of the potential plume, basically told her to stay 50 miles outside of the radius of the -- 100 miles -- excuse me -- 50 miles radius outside of the plant and then 100 miles along the plume with a vector of 45 degrees. The ship was adhering to that requirement and detected some activity about two and a half times above normal airborne activity using on-board sensors on the aircraft carriers. So that indicated that they had found the plume and it was probably more significant than what we had originally thought. The second thing that has happened is we have had some helicopters conducting operations from the aircraft carrier and one of the helicopters came back from having stopped on board the Japanese command ship in the area, and people who had been on -- were on the helicopter who had walked on the deck of the ship, were monitored and had elevated counts on their feet, 2500 counts per minute. But I wanted to get you guys on the line and my expert on the line so we can get the data and then the proper people notified.
MR. PONEMAN: Okay, I have a couple of questions. Number one, in terms of the level of radiation that you are picking up, what's the delta between that and any information we have from the Japanese or other sources of what the level of radiation would be, given the venting and so forth that we know has occurred?
MR. MUELLER: So -- this is Mueller -- the sample that was taken and then what we detected, we were 100 nautical miles away and it's -- in our terms it's -- ①compared to just normal background it's about 30 times what you would detect just on a normal air sample out at sea. And so we thought -- we thought based on what we had heard on the reactors that we wouldn't detect that level even at 25 miles. So it's much greater than what we had thought. We didn't think we would detect anything at 100 miles.
MR.. PONEMAN: You didn't think you'd detect anything at 100 miles. Okay, and then in terms of the regulations and so forth of people operating in these kinds of areas, I forget some you know, acronym for it, PAG (Protective Action Guidelines) or something, how do the levels detected compare with what is permissible?
MR. MUELLER: If it were a member of the general public, it would take -- well, it would take about 10 hours to reach a limit, a PAG limit.
MUELLER: Right. For a member of the public.
PONEMAN: Right. You mean, at the level you detected?
MR. MUELLER: Yes sir. ④But 10 hours, it's a thyroid dose issue.
MR. PONEMAN: Okay, but the net of all this is that the amount of release that is detected by these two episodes whatever you would call them, is significantly higher than anything you would have expected what you have been reading from all sources?
MR. MUELLER: Yes sir. The number specific number we detected was 2.5 the times 10 to the 88 minus nine microcuries per milliliter, airborne, and that's particulate airborne. It is -- we did not take radioiodide samples so I don't know that value, but this is particulate airborne...
MR. PONEMAN: Tell me again exactly how you picked up these two forms of samples.
MR. MUELLER: We have automatic detectors in the plant that picked up -- picked up the airborne, ②and all of our continuous monitors alarmed at the same level, at this value. And then we took portable air samples on the flight desk and got the same value.
ADMIRAL DONALD: These are normally running continuous detectors, continuous monitors that run in the engine room all the time, monitoring our equipment.
MR. PONEMAN: These are detectors on the Reagan?
ADMIRAL DONALD: On the Ronald Reagan, correct.
MR. MUELLER: Yes sir.
MR. PONEMAN: On the Ronald Reagan. They are there because you have got equipment there that you know, it could emit stuff and while you were there, you picked up stuff that was ambient which indicated that you actually were in the plume?
MR. MUELLER: That's correct.
MR. PONEMAN: And this was -- this was 30 times higher than what you would have expected?
MR. MUELLER: Yes sir.
東電も海軍も、『ロナルド・レーガン』は深く懸念するほどの高い線量を被ばくした訳ではないと主張する。 しかし日本も、韓国も、グアムも、線量が高すぎるとして 同艦の寄港を拒否している。 国防総省の写真素材からは、乗組員ら総出で甲板を除染している姿を克明に映し出している。


2011年3月22日、『オペレショーン・トモダチ』の人道支援任務のため日本近海に展開中の米艦艇
『ロナルド・レーガン』のフライトデッキで除染作業に勤しむの乗組員ら(写真提供:国防総省)
43億ドルの巨費を投じて建造されたこの巨大空母はいまサンディエゴに帰港しているが、評論家はそもそも帰港してよいのかどうかすら疑問だとしている。1946年から1963年の間に行われた太平洋での原爆実験で被曝した米艦艇を除染する作業は殆ど無意味だったことが現代では判っている。数百名にも及ぶ乗組員が高線量の放射線に被曝し、幾つかの艦艇は自沈させるほかなかった
福島原発事故現場での放射能汚染水の漏れ出し も、悪化の一途を辿っている。 これまで否定し続けてきた東電も、最近になってようやく、一部の放射能漏れを 500%以上の割合で"甘く推定していた"と認めている。また最新の報道によれば、福島のシグネチャであるセシウム137を含む放射性物質が米西海岸で検出されている。
放射能汚染水問題や、使用済み核燃料棒の撤去作業、消失した3つの炉心の捜索、現場における組織犯罪の暗躍など。福島を巡る世界の心配ごとは増える一方である。また情報の流れは、安倍政権が、 福島で何が実際に起きているかを公表すると重罪に課せられる可能性を孕む「秘密保護法」を制定したことによりますます不透明となった。
しかし、もし最新の証拠が事実であるならば、海軍は『ロナルド・レーガン』が高濃度の放射線下降物に激しく曝されていたことを把握しており、これまで仮説でしかなかったことがより鮮明に悪意を孕む事実であったことを意味する。
ショックを受けた乗組員らは海軍で訴訟を起こすこともできず、東電に対する訴訟も数々の国際法上の課題に直面する。
ただし一つだけ、確実なことがある。それは、国際社会はおよそ福島の全貌とはかけはなれた事実しか知らされていないということだ。
このトピックに関してさらに知りたい場合は、EcoWatchの NUCLEAR サイトを参照してください。
Harvey Wassermanは、 www.nukefree.orgの編集者のひとり。同サイトは、日本の「秘密保護法」の廃止を呼び掛け、福島に対する国際介入の必要性を訴える請願キャンペーンを展開している。著書に『SOLARTOPIA!』『Our Green-Powered Earth』等。