《シリーズ『日の昇る国の闇』》報道の自由でウズベキスタンや中国と肩を並べる日を迎える日本
2013年11月30日
ジャパンタイムズ特別寄稿
Jake Adelstein
Special to The Japan Times
27日付東京新聞より(記事全文) |
あなたが日本に住んでいるのならば、「知る権利」が「黙る権利」へと置き換わっていることに驚くかもしれない。
シッ、静かに。抗議してはいけない。
最早、既成事実も同然なのだから。
最早、既成事実も同然なのだから。
問題の秘密保護法案の1つ目の原則は、「秘密は秘密である」ということだ。
2つ目の原則は、秘密を漏洩する者または記事の掲載や放送を通じてこれを公表する記者は、懲役10年以下に処せられるということ。
3つ目の原則は、どの国家機関が国家秘密を秘密とするかを定める規則はなく、これら国家機関が特権を濫用しないことを監視・監督する仕組みがないということ。すなわち、職務を満足に遂行しない機関ですら、その情報を秘密指定できるわけだ。
4つ目の原則は、原子力に関するあらゆる事項が国家秘密に指定されることだ。つまり、この国において原子力の問題は、その問題を知る術がなくなるのだから、存在しなくなるという寸法だ。そして何も知らなければ、何も被害を被ることもないと。
2つ目の原則は、秘密を漏洩する者または記事の掲載や放送を通じてこれを公表する記者は、懲役10年以下に処せられるということ。
3つ目の原則は、どの国家機関が国家秘密を秘密とするかを定める規則はなく、これら国家機関が特権を濫用しないことを監視・監督する仕組みがないということ。すなわち、職務を満足に遂行しない機関ですら、その情報を秘密指定できるわけだ。
4つ目の原則は、原子力に関するあらゆる事項が国家秘密に指定されることだ。つまり、この国において原子力の問題は、その問題を知る術がなくなるのだから、存在しなくなるという寸法だ。そして何も知らなければ、何も被害を被ることもないと。
国民の「知る権利」は、これを以て正式に「政府が国民に知り得て欲しくない情報を政府が国民に知らせない権利」に取って代わられた、ということである。
日本国民の皆さん、ようこそ!
安倍晋三首相率いる自民党、公明党、そしてみんなの党によりもたらされる、日本の暗黒時代の到来だ!
安倍晋三首相率いる自民党、公明党、そしてみんなの党によりもたらされる、日本の暗黒時代の到来だ!
これまでの経済の動向や、政府の決定、政治家の行動などが「不透明」と思えたならば、支配層はこれらを「漆黒の闇」に塗りつぶそうとしていると考えた方がいい。
あらゆる大手報道機関が法案に反対している。先週は、数千にも及ぶ一般市民が路上に繰り出し、同法案に対する抗議デモを行った。
あらゆる大手報道機関が法案に反対している。先週は、数千にも及ぶ一般市民が路上に繰り出し、同法案に対する抗議デモを行った。
民意にひじょうに敏感になっている自民党は26日、決定的な行動に打って出た。午前中に審議を行い、これを国営放送のNHKに報じさせた。だがNHKの中継が途中で中止された途端、自民党は審議を終了し衆院での強行採決に訴えたのである。まさに民主国家ならではの行動であるといえよう。[※訳注:全体を通じ本文での表現は筆者の皮肉だと思われます]
これで、残るは参議院のみとなった。
問題の法案は、政府与党勢力に反抗するあらゆる個人を逮捕収監した、戦前の治安維持法に準えられる。
「日本には既に極めて脆弱な情報公開法しかないというのに、この法案でそれが機能しなくなってしまう」と語るのは、日弁連秘密保全法制対策本部のメンバー[訳注:事務局次長]である齋藤裕弁護士。
「この法案は米国の国家安全保障法の悪い所ばかりを採用して、その保護措置や監視・監督の仕組みに関する部分を全て取っ払っている」
一部の世論調査によると、政府がこの新しい法を、スキャンダルや汚職、そして都合の悪い情報の隠蔽に悪用するのではないかと感じる国民は八割以上に上るという。
この政府不信には、60年代に起きた企業利益温存のための水俣病の隠蔽、90年代に起きたHIVエイズ血液製剤に関するスキャンダル、そして00年代に起きた福島第一・第二原発の安全性に関する暴露記事を封殺した経産省の動きなど、十分な根拠がある。
安倍首相は、法案には附則で明確に、法制の監視/監督を行う「第三者機関を設置すべき」と謳っていると保証している。
「~べき」である。
この「~べき」というのは、非常に興味深い言葉である。
この「~べき」というのは、非常に興味深い言葉である。
用法としては、「歯は磨くべきである」
「税金は払うべきである」などが考えられる。
「税金は払うべきである」などが考えられる。
国民は安倍首相を信じる「べき」なのだろうが、私は信じない。日本社会は、政府が何をしているかを「知る権利」と報道の自由が保障される社会である「べき」だと信じるからだ。
安倍首相の、「監督機関があるべき」という主張は、その実現には結びつかない。そしてごく最近の例を振り返れば、仮に申し訳程度の監督機関が作られたとしても、国民の「知る権利」を守るという意味では、福島第一原発での三重のメルトダウンを見事に阻止できなかった原子力保安院程度の有効性しか見出せないだろう。
国境なき記者団(RSF)は27日、法案を的確に批難した。
「あらゆる都合の悪い情報を“国家秘密”に指定することのできる法を制定するようでは、どのようにして、福島原発事故の影響から怒り心頭する国民の間で高まる、更なる透明性を求める声に応えられるというのか」(“How can the government respond to growing demands for transparency from a public outraged by the consequences of the Fukushima nuclear accident if it enacts a law that gives it a free hand to classify any information considered too sensitive as a ‘state secret’?”)
「秘密指定された情報を…入手しこれを掲載した者に重い刑罰を課すことで、日本の国会は調査報道を非合法化し、情報源の秘匿と公益の実現という報道の根本原則を踏みにじっている」(“By imposing heavy penalties on those who obtain classified information... and then publish it, parliament is making investigative journalism illegal, and is trampling on the fundamental principles of the confidentiality of journalists’ sources and ‘public interest’.”)
RSFはその声明の中で、報道の自由度ランキングにおける日本の地位は、2012年度のそれから記録的な31ポイントの急落をマークし、179か国中53位に転落したことに触れた。
"Japan is ranked 53rd out of 179 countries in the 2013 Reporters Without Borders press freedom index,a record fall of 31 places from its position in the 2012 index."※
日本語版作成:『世界経済のネタ帳』 |
秘密保護法が成立したら、日本の来年度の報道の自由度ランキングは、ウズベキスタンや中国のレベルにまで落ち込むだろうと見られている。[訳注:国境なき記者団は上記のランキングに関わる発表で、「福島に直接あるいは間接的に関連する情報の透明性の欠如と情報公開に対する殆ど無きに等しい配慮の無さが影響している」("has been affected by a lack of transparency and almost zero respect for access to information on subjects directly or indirectly related to Fukushima. ")としています。尚、ランキングではウズベキスタンは164位、中国は173位となっています。隣国の北朝鮮は178位とアジアで最下位となっています。]
『沈む陽の国』へようこそ。
どれほどの闇がこの国を覆うのか見てみるとしよう。
"If the state secrets law is passed, Japan’s press freedom ranking next year is expected to sink to nearly Uzbekistan or China levels. Welcome to the land of the setting sun. Let’s see how much darker it will get." - Jake Adelstein
Translation and additional report provided by: Office BALÉS News
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