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2013/06/23

国連拷問禁止委に実権実績を非難される英国 明日は我が身となるか(OBN)


国連拷問禁止委に人権実績を非難される英国
明日は我が身となるか 

2013.06.22

AFP Photo / Essam Al-Sudani

国連の拷問禁止委員会
は、英国政府による人権侵害を非難し、国際基準に見合うよう直ちに是正措置をとることを求めるという、これまでにない強い要求を行っていたことが、今月2日、ロシアトゥデイ紙の報道により判明した。


人権状況の改善を厳しく求められた英国
委員会は、英国政府による、いわゆる「テロとの戦い」における人権侵害行為やイラク戦争におけるイラク人捕虜に対する不法な取扱いを主な対象として審査を行い、これらとは別にさらに40項目の是正を求める勧告を行った。

委員会が発表した勧告書(総括所見)では、9.11同時多発テロ事件以降、アフガニスタンおよびイラクに対して行われた武力介入において、深刻な拷問や不法な取扱があったとの指摘があることに、「重大な懸念がある」として、以下の是正を求めた。
  • 国外で拘束されている拘留者について、不法な取扱や拷問が行われたかどうかを調査する査問委員会を設置すること。(第15項)
  • “合法的な権限、正当性及び根拠”があれば、重い苦痛や苦難を強いることがあっても訴追を免れることを規定する、1988年の刑事裁判法における、いわゆる“回避条項”を廃止すること。(第11項)
当該勧告事項
(第11項)The State party should repeal Section 134(4) and 134(5) of the Criminal Justice Act 1988 and ensure that its legislation reflects the absolute prohibition of torture, in accordance with article 2, paragraph 2, of the Convention, which states that no exceptional circumstances whatsoever may be invoked as a justification of torture.
(第15項)The Committee recommends that the State party establish without further delay an inquiry on alleged acts of torture and other ill-treatment of detainees held overseas committed by or at the instigation of or with the consent or acquiescence of British official. 
これらに勧告事項に関連し、委員会は1994年の情報機関法(Information Services Act)の規定(政府閣僚により署名された合法的権限を認める委任状がある場合は情報機関関係者の訴追を免除する)についても懸念を表明した。これに関連し、イラク戦争捕虜に対する拷問について未だに誰も訴追に至っていないこと、とりわけ2003年の英軍拘留中に殺害され死亡したハバ・ムーサ(Baha Mousa)氏について、たった一人の兵士の責任で済まされたことについて委員会は遺憾の意を示した。

同様の指摘は国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチも行っていた。
また委員会は、国家安全保障に係わる案件について、司法及び安全保障法(Justice and Security Act)に基づき英国政府が7月に導入を検討しているCMP(Closed Material Procedures:非公開証拠手続き)と呼ばれる秘密法廷手続についても懸念を表明した。この手法により、伝聞に基づく証拠や拷問に基づく証拠の利用が有効となるほか、"Special Advocates"といわれる国によって選ばれた"特選弁護人"を利用することで「公正な裁判を行うことが難しくなる」と勧告書は指摘する。
これら一連の指摘に対する英国政府の立場は明らかにされていない。

委員会の勧告を無視した日本
英国への勧告に先立つ5月31日、拷問禁止委は日本に対しても勧告を発していた。勧告書で委員会は代用監獄制度の問題、取調べと自白の問題等計7つの点を指摘。このうち、戦時性奴隷制(いわゆる「従軍慰安婦」)の問題については「閣僚を含む政府高官や地方役人について政府に反駁を求めるもの」であったが、日本政府は18日、「法的拘束力を伴うものではないため従う義務はない」として閣議決定を行い、実質的に委員会の勧告を無視する対応をとった。
また政府与党の自民党が検討している日本国憲法改正草案(2012年4月27日策定)では、拷問の禁止を定める第36条において、これまで『絶対に禁ずる』とされていたが文言から、『絶対に』が削除されることが提案されていることから、法曹界から懸念の声が上がっている。
英国では、国家安全保障の名において、国内法に基づき情報機関関係者等が訴追を免れたり、特定条件下では拷問が合法とすらされており、これが国連拷問禁止委員会により問題視された。
憲法改正により国内法が制定され、これまで「絶対に禁じられていた」拷問が特定条件下では可能になるのであれば、日本も今後は、英国と肩を並べる「人権後進国」へと成り下がる可能性がある。
日本は英国のように戦力としての軍隊を持たず、またこれまで、「テロとの戦い」についても憲法上の制約により直接的な武力行使への参加は避けてきため、英国が抱えるような捕虜の取扱いから生じる人権問題等には、これまで関与したことがない。
2004年8月、日本政府は捕虜の取扱いを定めるジュネーブ諸条約の追加議定書に加入し、2007年の7月には捕虜の取扱いに関する重大な不法行為を裁くことのできる国際刑事裁判所ローマ規程に加入した。国際的な刑事責任を果たす体制を整えた一方で、憲法上で拷問を「絶対の禁止事項」から外すことで、将来的に、国防軍等の設置の暁には、英国同様に国内法に「回避条項」を定める可能性が懸念される。

アフガニスタン・イラク戦争の総決算として、国連の条約機関にこれまでにない強さで非難された英国。憲法改正の暁には、明日は我が身となるやもしれない。

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