インドネシアのジャカルタで行われているアジア・アフリカ首脳会議(バンドン会議)における日中首脳会談について、フランス通信社AFPはその国際版の第二報で、日本の安倍晋三首相の首脳会議での演説の内容が、会談に「暗い影を落とした("casts shadow")」として、会談への影響だけでなく、70周年記念の総理談話の展望についても、首相の演説は「不吉な前兆となるかもしれない("possibly a bad omen")」と評価した。首相の戦後70周年を記念する総理談話に繋がる第一歩は、欧州を代表する国際メディアに厳しい評価を下された形となった。
AFPが厳しく評価したのは、やはり「お詫びの言葉」("formal apology")の不在だった。演説の後の会談で、中国の周主席が「微妙な歴史問題」に触れ、「日本側にもっとアジア周辺国の懸念を真摯に受け止めてほしい("I hope the Japanese side can take seriously the concerns of its Asian neighbours,")」と釘を刺したことや、同国営の新華社通信が「極めて遺憾」( "deeply regrettable")として、日本政府の「歴史問題に対する不誠実な姿勢」 ("treacherous stance on the sensitive historical issues")が関係正常化の妨げとなっていると評したこと等を挙げた。
AFPは韓国外務省も同様に「極めて遺憾」("deep regret")と評価したこと挙げ、新華社通信が使った「不吉な前兆("bad omen")」という表現に同調して、70周年記念の総理談話に繋がる行為として、日本の「植民地支配と侵略」("colonial rule and aggression")に対するお詫びに明示的に触れなかった今回の演説が、「不吉な前兆となるかもしれない」("potentially a bad omen")と悲観的な評価を下した。
「安倍首相のバンドン演説は「地域の緊張を更に煽る最新の動きにほかならなかった」(” just his latest move that risks inflaming regional tensions”)―AFPの最終評価はこうだった。
同紙は、その理由として、事前に首相自らが靖国で奉納を行ったこと、そして水曜日100人以上の国会議員が参拝したこと。演説で重要な言葉を省いたこと、中国の海洋進出を敢えて会議の場でけん制したことと挙げ、全てが、中国や韓国には侵略行為について「反省する意思がないことの象徴」(”symbol of Japan's unwillingness to repent for its aggression”)に繋がっているとした。
朝日新聞の23日の報道によると、首相の演説内容は、バンドン会議の首脳会合に参加した東南アジアの各国首脳には概ね好評価だった。日本が積極的な経済支援や社会発展協力を行っているマレーシア、ミャンマー、カンボジア等の政府閣僚は日本による「アジア・アフリカ地域への積極的な経済関与」を期待して、これを優先させる現実的な姿勢をとった。
とくにマレーシアの外相は「日本による占領という暗い時代、残酷な時代を多くのアジア人は心のなかに覚えている。しかし、今は前進すべき時だ。貧困のない、正義ある社会をどうつくるか。協力し合う必要がある」と述べ、前進的な姿勢を示した。
とくにマレーシアの外相は「日本による占領という暗い時代、残酷な時代を多くのアジア人は心のなかに覚えている。しかし、今は前進すべき時だ。貧困のない、正義ある社会をどうつくるか。協力し合う必要がある」と述べ、前進的な姿勢を示した。
しかし、今月末にアジア太平洋地域の最重要同盟国であるアメリカへの公式訪問と、米連邦議会両院合同議会での史上初の演説を控え、8月には戦後70周年を記念する同じく歴史的な総理大臣談話の発表が待たれる安倍政権にとって、全世界が注視するバンドン会議での第一歩はけっして、今後の展開を楽観できる内容のものではなくなったようだ。
Compiled by: Office BALÉS News (OBN)