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2015/04/23

(OBN)仏AFP国際版、安倍首相のバンドン会議演説を日中首脳会談に「暗い影」を落とし「不吉な前兆となる」と厳しい評価


インドネシアのジャカルタで行われているアジア・アフリカ首脳会議(バンドン会議)における日中首脳会談について、フランス通信社AFPはその国際版の第二報で、日本の安倍晋三首相の首脳会議での演説の内容が、会談に「暗い影を落とした("casts shadow")」として、会談への影響だけでなく、70周年記念の総理談話の展望についても、首相の演説は「不吉な前兆となるかもしれない("possibly a bad omen")」と評価した。首相の戦後70周年を記念する総理談話に繋がる第一歩は、欧州を代表する国際メディアに厳しい評価を下された形となった。

AFPが厳しく評価したのは、やはり「お詫びの言葉」("formal apology")の不在だった。演説の後の会談で、中国の周主席が「微妙な歴史問題」に触れ、「日本側にもっとアジア周辺国の懸念を真摯に受け止めてほしい("I hope the Japanese side can take seriously the concerns of its Asian neighbours,")」と釘を刺したことや、同国営の新華社通信が「極めて遺憾」( "deeply regrettable")として、日本政府の「歴史問題に対する不誠実な姿勢」 ("treacherous stance on the sensitive historical issues")が関係正常化の妨げとなっていると評したこと等を挙げた。

AFPは韓国外務省も同様に「極めて遺憾」("deep regret")と評価したこと挙げ、新華社通信が使った「不吉な前兆("bad omen")」という表現に同調して、70周年記念の総理談話に繋がる行為として、日本の「植民地支配と侵略」("colonial rule and aggression")に対するお詫びに明示的に触れなかった今回の演説が、「不吉な前兆となるかもしれない」("potentially a bad omen")と悲観的な評価を下した。

「安倍首相のバンドン演説は「地域の緊張を更に煽る最新の動きにほかならなかった」(” just his latest move that risks inflaming regional tensions”)―AFPの最終評価はこうだった。

同紙は、その理由として、事前に首相自らが靖国で奉納を行ったこと、そして水曜日100人以上の国会議員が参拝したこと。演説で重要な言葉を省いたこと、中国の海洋進出を敢えて会議の場でけん制したことと挙げ、全てが、中国や韓国には侵略行為について「反省する意思がないことの象徴」(”symbol of Japan's unwillingness to repent for its aggression”)に繋がっているとした。

朝日新聞の23日の報道によると、首相の演説内容は、バンドン会議の首脳会合に参加した東南アジアの各国首脳には概ね好評価だった。日本が積極的な経済支援や社会発展協力を行っているマレーシア、ミャンマー、カンボジア等の政府閣僚は日本による「アジア・アフリカ地域への積極的な経済関与」を期待して、これを優先させる現実的な姿勢をとった。

とくにマレーシアの外相は「日本による占領という暗い時代、残酷な時代を多くのアジア人は心のなかに覚えている。しかし、今は前進すべき時だ。貧困のない、正義ある社会をどうつくるか。協力し合う必要がある」と述べ、前進的な姿勢を示した。


しかし、今月末にアジア太平洋地域の最重要同盟国であるアメリカへの公式訪問と、米連邦議会両院合同議会での史上初の演説を控え、8月には戦後70周年を記念する同じく歴史的な総理大臣談話の発表が待たれる安倍政権にとって、全世界が注視するバンドン会議での第一歩はけっして、今後の展開を楽観できる内容のものではなくなったようだ。

2015/04/21

緊急和訳:2015.04.20付け米紙ニューヨークタイムズ社説『安倍氏と日本の歴史』(全訳)

安倍氏と日本の歴史

2015年4月20日 社説
ニューヨークタイムズ論説委員会(原文

2014年8月の終戦記念日行事にて。手前が安倍総理。(ロイター)


来週に控えた日本の安倍晋三首相の米国訪問は、幾つかのレベルで重要な意味を持つ。日本の指導者として初めて連邦議会両院合同議会で演説を行い、オバマ大統領とともに、防衛協力の強化や、あるいは貿易面等の重要課題についてもその進展を発表する場となり、三つ目の課題としてアジアにおいて拡大する中国の影響力の問題についても協議が行われる予定である。

訪問が行われる背景も重要である。今年は第二次大戦における日本の敗戦から70周年目を示す年でもある。見方によっては、今回の訪問は、日本の驚異的な戦後復興と、いまや地域安定の礎となった旧敵国との堅固な同盟関係を祝福する機会だともいえる。

しかし、今回の訪問の成功は、安倍氏がいかにして日本の戦時中の歴史と誠実に向き合うかに懸っている。これには、開戦を決定した経緯や、戦時中の中国と韓国(朝鮮半島)に対する過酷な占領、残虐行為や、戦時中の慰安所で性奴隷或いは”慰安婦”として幾人もの女性たちを奴隷化したことも含まれる。

現代において、これらの問題は解決済みである筈である。解決されていないとすれば、それは主に、安倍氏や彼と共闘する右翼勢力が歴史を疑問視するばかりか、書き換えようとすらしてきたことにより、地域の緊張を煽ってきたことに起因する。 

今年の8月15日、日本が降伏したその日に、安倍氏は軌道修正を図るかもしれないが、米連邦議会での演説内容も、重要なシグナルとして受け止められる。

安倍氏の愛国主義的な見解や、抵抗勢力からの圧力は、これらのデリケートな問題に対する安倍氏の判断に影響を及ぼしている。

安倍氏は公然と、戦争に対する後悔の念を表明しており、性奴隷化を含む侵略行為に関する過去の日本の謝罪を尊重するとしている。しかし、実は謝罪に対する真摯な姿勢などなく、最終的にはその意味を薄めるつもりなのではないかとの疑念を抱かせるような修飾子を自らのコメントに添える。

また、政府としてこうした歴史を綺麗ごとで誤魔化そうとする動きがあり、この問題を更に複雑にしている。

今月、文部科学省は、中学校の教科書の歴史上の出来事に関する記述を書き換えるよう出版社に求めたことについて、韓国及び中国政府から非難を浴びた。これらの出来事には、領土所有権問題や戦争犯罪にかかわる記述が含まれていた。日本政府の公式な、だが率直ではない見解に沿ったものだ。

さらに安倍政権は昨年、日本が性奴隷としての労働を強制したことに関する1996年の人権報告書の修正を国連に迫り、これに失敗している。(関連

日本の右翼の多くは、戦後、アメリカやその同盟国により日本が不当に中傷されきてたと信じ込んでいる。安倍氏は、日本がこれまで、かつての軍国主義や残虐行為についてこれを是正する努力を十分に行ってきたと思わせようとしているふしがある。

21世紀のリーダーとして、アメリカとともにアジアにおいて中国をけん制し、グローバルな責任を果たすことのできる国家としての地位を確立することが大切であると、安倍氏は語る。しかし過去の批判を退けているようでは、日本にそのような信頼のおける広範な役割を担うことはできない。

明仁天皇陛下とそのご親族は、より模範的な姿勢を示されている。安倍氏に対する譴責(けんせき)と思われる行動で、徳仁皇太子殿下は後世に「歴史を正しく伝えること」の必要性を説かれた。



安倍氏とオバマ氏がワシントンの首脳会談で日米防衛協力の拡大に関する17年間で初めてとなる新たな指針に合意し、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)について本質的な進展が見られれば、両国にとって大変良いことである。だが、その多くは、安倍氏がいかにして右翼層の圧力をはねのけ、日本がアジアの安定を弱めるのではなく、強めることができることを示せるか否かに懸っている。

Translation by: Office BALÉS