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2013/11/20

《和訳》ロイター11/14付『使用済燃料の一部、震災前に破損していた』(補足資料付)

使用済燃料の一部、震災前に破損していた

Some spent fuel rods at Fukushima were damaged before 2011 disaster

2013年11月14日 06時32分

取り出し作業の対象となる使用済燃料プール
出典:東京電力『福島第一原子力発電所の緊急安全対策』(2013年11月8日)

※画像はすべてクリックで拡大できます。
[東京 14日 ロイター]18日から、1年間に及ぶ慎重かつ危険な取り出し作業が始まる福島第1原発の原子炉の使用済燃料集合体のうち3体が、東日本大震災で発生した地震や津波以前に破損していたことが14日、分かった。この破損した3体の燃料集合体について東京電力は、1500体の取り出し用に設計された通常の大型輸送容器では原子炉4号基から取り出し不能であることを表明した。(※補足:現在の燃料貯蔵量

燃料集合体は、50~70本(最高72本)の高濃度放射性使用済燃料棒が収容される全長4.5メートルの容器(チャンネルボックス)から成る。(※下図参照)

 [補足資料1]燃料集合体と燃料ラック(出典:資料2

破損した燃料集合体の1つは、最も古いもので1982年に破損していた。移送時の取扱いミスにより折れ曲がってしまっているという。東電が今年8月に発表した11頁の情報シートに小さく記載があった。(関連報道


[補足資料2]同資料に記載された1982年時に起きた破損を詳述する箇所(資料4



東電2010年4月のプレスリリースで、同原子炉建屋内の核燃料プールに補完された2体の使用済燃料集合体が、「線状の異物」の混入により取り出し不能になっていたことを公表。また同社永井義一広報担当が14日本紙に語ったところによると、2体の集合体内の一部の燃料棒にピンポール級の亀裂があり、低線量の放射性ガスが漏えいしている


出典:東京電力「4号基使用済燃料プール内における異物の調査結果について」(2010年4月6日)



[補足資料3]同資料に記載された1体目の「線状の異物」の位置と拡大写真


[補足資料4]同資料に記載された2体目の「線状の異物」の位置と拡大写真


破損燃料の存在は、東電がまさに4号基から全ての使用済燃料を取り出す廃炉作業に取りかかろうとしていた矢先、13日に現地福島の新聞が[県廃炉安全監視協議会の現地調査の結果として]明らかにしていた。
[補足資料5]15日付で発表された東電参考資料に記載のあった情報(出典:資料1
"The three fuel assemblies ... cannot be transported by cask,"「3体の燃料集合体は、(通常の)輸送容器では輸送できない」
東電の吉田真由美広報担当は14日、本紙のメールでの問合せに対しこう回答した。スチール製の大型輸送容器(“キャスク”)は破損した原子炉建屋の高層部分から施設内の安全な保管場所へと燃料集合体を移動する際に使用される。同社の吉田広報担当はこう続けた。
"We are currently reviewing how to transport these fuel assemblies to the common spent fuel pool,"「現在、これら燃料集合体を共用の使用済燃料プールへと輸送する方法について再検討している」
[補足資料6]健全燃料の輸送に使用される大型輸送容器"キャスク"(出典:資料2

東電は数日後、400トンもの危険な使用済燃料を取り出すという、多大な危険を伴う極めて慎重かつ前例のない作業を開始する。破損した燃料集合体の存在は、作業を更に困難なものにし、12か月で燃料取り出しを完了するという極めて野心的なスケジュールにも影響を及ぼす可能性がある。


[補足資料7]4号基の燃料取り出しの全作業工程(出典:資料2

危険で複雑な作業

福島第一原発の3基の原子炉は、2011年3月の東日本大震災の後でメルトダウンして爆発を引き起こし、近隣の町や村の住民16万人を強制的に避難する要因となった。震災後2年半の間、事故を収容しようと足掻いてきた東電は、6つの原子炉からなる施設の完全な廃炉作業に移行しようとしている。
喫緊の課題は、地上18メートルに立地する不安定な原子炉4号基から燃料集合体を取り出すことにある。その高さゆえ、新たな地震に対して極めて脆弱だからだ。この作業は、何兆円もの費用と何十年もの年月がかかるとされる施設全体の廃炉作業のテストケースになると見られている。
米原子力規制委員会に在籍した外部専門家として東電に招聘されているレイク・バレット(Lake Barrett)氏(英文履歴は13日、施設を訪問し、燃料集合体の取り出しについてこう述べ、作業の開始を支持した。

"While removal of the fuel is usually a routine procedure in operating a power plant, the damage to the reactor building has made the job more complex," he said, adding he was "genuinely impressed by the thoroughness of the effort and Tepco's contingency planning."「核燃料を取り出す作業は原発を運営する上では通常行う作業だが、原子炉建屋への損傷がこれをより複雑なものにしている。東電の入念な準備と非常時の態勢には純粋に感心している。
東電は11月中旬にも燃料集合体の取り出し作業を開始すると発表しているが、具体的な日付については安全保障上の理由のため公表していない。

燃料集合体はまず、使用済燃料プール内の燃料ラックから取り出し、スチール製のキャスクに個別に収納する必要がある。またその間、各集合体は加熱しないよう常に水中に補完し続けなければならない。
[補足資料8]燃料集合体が取り出される仕組み(出典:資料3

燃料集合体で満杯になった重量90トンのキャスクは、クレーンによりプールから吊り上げ、地上に待機するトレーラーに積み込まれ、100メートルほど離れた共用保管場所へと輸送される。
[補足資料9]クレーンが行う作業の手順(出典:資料3

  • 動画 4号機使用済燃料プールからの燃料取り出し(2013年10月30日掲載)
  • 資料1: 福島第一原子力発電所4号機からの燃料取り出しにかかる安全対策等(2013年11月15日)
  • 資料2 4号機使用済燃料プールからの燃料取り出し(2013年11月12日掲載)
  • 資料3: 福島第一原子力発電所4号機使用済燃料プールからの燃料取り出しについて(2013年10月30日)含FAQ
  • 資料4: 福島第一原子力発電所 特定原子力施設に係る実施計画の変更認可申請について(2013年8月30日)

原文元記事:
Some spent fuel rods at Fukushima were damaged before 2011 disaster
REUTERS, Thu Nov 14, 2013 6:32am EST
翻訳・追加調査・補足: 
Office BALÉS NEWS 

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