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2010/05/08

和訳:「オバマ大統領は日本を中国へと追いやっている」日本の政治家が指摘(The Cable)

  • Click the title for the original article  by Josh Rogin
先月、ワシントンで開かれた核安保サミットで、バラク・オバマ大統領がそのおまけとして日本の鳩山幸夫首相と短く会談したとき、大統領は沖縄海兵隊基地の移転という日米間に横たわる問題を解決する約束を果たすよう、鳩山首相に要請した。だが、5月末という自ら設定した期限が迫るなか、首相はこの約束を果たせそうにない。そんな中、オバマ政権の対応への不満を公言する日本の政治家が現れ始めた。

その一人が谷岡郁子議員だ。日本の与党民主党の参議院議員で、鳩山首相の顧問的存在といわれている人物だ。タニオカは10日、訪問中のワシントン市内のイースト・ウェストセンターで、これまでに日本側の関係者から発せられたことのない激しい論調で批判を展開した。数カ月に及ぶ折衝のなかでも未だ解決されていない普天間問題へのオバマ政権側の取り組みについて、「米国政府が鳩山総理を同盟国の首相として扱っていない」と詰めかけた観衆の前で訴えたのである。さらにタニオカはこうも述べた。

「普天間問題についてまったく譲歩しないという米国の姿勢は、日本を中国へと追いやっている。これを私はひじょうに憂慮している」


ワシントンのジャパン・ハンドラーらにとっては、タニオカのような2007年に政界入りしたばかりの左派バックベンチャーは、とるに足らない存在らしい。しかしタニオカは、鳩山に近い存在で、党内では北米政策担当部署の“No.2”を務めている。

問題の焦点となっているのは、ブッシュ政権時代の2006年に旧与党・自民党政権と交わされた合意だ。この合意通りに事が運べば、普天間飛行場は現在の沖縄の人口密集地から、“あまり目立たない”場所へと移転される筈だった。鳩山と民主党は、この合意を改訂することを公約に掲げたが、米側が、選挙で敗退した旧政権と結んだ現行案の履行を固持したため壁にぶつかった。以来、国防省や国務省の高官は水面下で交渉を続けてきたが、米政権側は日本側から具体的な代替案が提示されるのを待っている状態にある。

一方、沖縄では大規模な抗議デモが発生し、鳩山は動きにくくなった。タニオカは、これも一部は米政府の責任だとする。

「これではまるで、“自分たちの問題なのだから自分たちで解決しろ”と言っているのにも等しいのではないか」

在日米軍の駐留について不満を訴える世論がますます高まっていることを示した上で、タニオカはこう述べた。

普天間問題が本当に深刻な問題であるならば、オバマ大統領は核安保サミットの場で、食後のおしゃべりの時間ではなく二国間会談の場を正式に設けるべきだったと、タニオカはいう。

「本当に深刻な問題ならば、大統領はじっくりと協議すべきだった。そうでないなら、“協議は必要ない”とはっきり述べるべきだった」

これまでオバマ政権側は、現行案に対する調整を受け入れる用意があることをたびたび表明してきたが、同時に“運用上の実効性”と“政治的な実効性”の二つが確保される必要があるとも主張してきた。すなわち、海兵隊のニーズと、地元の合意の確保を条件としてきたわけである。

「政治的に実効性のある案などあろうはずもない」

タニオカは、ここに問題があると指摘した。

「米国は現行案が実現可能な案だと考えていたようだが、そうではなかったことはもはや明らかだ」

最後に、タニオカは鳩山政権や民主党にこれまで、とくに報道対応の面で、ミスがなかった訳ではないことを認めつつも、同盟関係そのものが危機的状態にあることを示唆した。

「事態は私が想像した以上に深刻だ。国民は海兵隊の基地だけでなく、全ての基地を撤廃するよう訴え始めるだろう」



Original article by Josh Rogin, The Cableスタッフ・ライター
Translated with permission by Etranger

※文中リンクは全て原典通り(英文)

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