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2010/06/19

超訳:打ち砕かれた望み("Shattered Hopes")


本稿は、6月3日、米誌The Diplomat公式ブログの『Tokyo Notes』に掲載された"Shattered Hopes"という記事と、その元になった原稿を融合し、さらにこれまでツイッター上で行われた様々な議論を総合して行った“超訳”的試みです。The Diplomat掲載の原文についてはタイトルをクリックしてください。



2010年6月2日、
鳩山総理が行った突然の(かつ予期された)辞任表明は、日本全土を震撼させた。首相を支持する者も、そうでない者も、ともに強い衝撃を受けた。だが最も衝撃を受けたのは、「Xデー」の直前まで、一縷の望みを託し続けた国内外の多くの人々だった。彼らにとっての「Xデー」とは、鳩山総理が辞任を表明した日ではなく、日米安全保障協議委員会(SCC)によって新合意の内容が公表された5月28日だった。

この新合意の内容が公表されるまさに直前まで望みを捨てずにいた人々にとって、その内容は大いなる落胆と失望をもたらすものでしかなかった。この絶望感と憤りは、特に沖縄県名護市と鹿児島県徳之島の住民によって共有された。名護市と徳之島は新合意の中で、在沖海兵隊普天間飛行場(MCAS)の飛行機能と訓練機能の移設候補先として、それぞれ指定されていた。

「両政府は,オーバーランを含み,護岸を除いて1800mの長さの滑走路を持つ代替の施設をキャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に設置す る意図を確認した。

「両政府は,二国間及び単独の訓練を含め,米軍の活動の沖縄県外への移転を拡充することを決意した。この関連で,適切な施設が整備されることを条件として, 徳之島の活用が検討される。」

二つの県の首長はいずれも、政府の要請を拒否する姿勢を固持していた。新合意は、これら地方自治体の人々にとって、政府が彼らの切なる望みや願いよりも、二国関係を重視したことの象徴となった。

そんな矢先に、政府のトップが辞任を表明したのだから、彼らの最後の望みは無残にも打ち砕かれてしまった。

優先されたのは国家安全保障上の課題

彼らのように希望を持ち続けた人々にとって、首相の辞任表明は、米軍基地の存在に悩まされている人々のために戦うことを
首相が放棄したことの証だった。彼らにとってそれは、非力で優柔不断な首相が、国家の首班として守るべき国民の利益や生活よりも、国家安全保障や二国間同盟を選んだことを意味した。

最終的には、国家安全保障上の課題が優先された。

「日米同盟が日本の防衛のみならず,アジア太平洋地域の平和,安全及び繁栄にとっても引き続き不可欠であることを再確認した」と書かれた
SCC合意の序文には、なぜその確認がなされたのかを示す理由がハッキリと記されていた。


「日米同盟が日本の防衛のみならず,アジア太平洋地域の平和,安全及び繁栄にとっても引き続き不可欠であることを再確認した。北東アジアにおける安全保障情 勢の最近の展開により,日米同盟の意義が再確認された。


北朝鮮によるものとみられる韓国哨戒船への攻撃が、全てを変えてしまった。その攻撃を行ったとされるたった1発の魚雷が、地域安全保障の均衡だけでなく、多くの人々望みをも破壊してしまったのである。

この危険な安全保障の「ゲーム」は、まだ終わらない。

日米両国に翻弄される国内外の地元の苦悩

共同通信によれば、 首相が辞任を表明するほんの1日前、米連邦議会は在沖海兵隊のグアム移転先費用を定める予算案(国防権限法案)の現行案のままでの採択を見送り、大幅な予算削減を求めたという。

同通信社が独自に入手した議会の内部資料によれば、米上院軍事委員会は、予算枠を政府提案額の70%にまで削減し、SCC合意に記載された米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の代替施設建設に関し県知事の埋め立て許可が得られていない」ことをその具体的な理由として挙げた。

SCC合意の内容に憤る人々は、米議会のこうした動きを、合意の遂行に努める日本の実務者に対する明瞭な圧力として受け止めている。そして、最近明らかにされたあるもう一つの事実が、この確信をさらに強めた。一連の報道が裏付けられた形となったからだ。


共同のもう一つの記事によれば、日米両政府は8,552名の海兵隊員と約9,000名の家族をグアムに移転するに当たり、「移転完了期限を2014年から3~5年延長する方向で本格的な検討に入った」という。これは当然、これまで合意された諸処の日程を変更することを意味する。

(参考) 


共同の記事が強調し、グアム移転協定にも明記されたとおり、最新のSCC合意では、「海兵隊約8千人のグアム移転は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設と不可分」であると規定されている。
「閣僚は,2009年2月17日の在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定(グアム協定)に定められたように,第三海兵機動展開部隊(MEF)の要員約8000 人及びその家族約9000人の沖縄からグアムへの移転は,代替の施設の完成に向けての具体的な進展にかかっていることを再確認した。グアムへの移転は,嘉 手納以南の大部分の施設の統合及び返還を実現するものである。」

記事が指摘するように、移転完了の大きな遅れが、「日米両政府が8月までに位置や工法を詰める 普天間移設の代替施設計画にも影響」するのは、間違いないだろう。


この事実は、望みを保ち続ける人々にとってさらなる追い打ちとなる。なぜなら、米政府の一方的な要求がこうした事態を招いているのではなく、日本政府も完全に一体となった動きであることを、これらの事実が指し示すからだ。すなわち、彼らは日米両政府に翻弄されているという確信をますます強めたのである。

いまいちど、「国民のための外交」への回帰を

「国民不在の政治」という言葉があるように、外交においても「国民不在の外交」がまかり通り、多くの人々の希望を打ち砕いた。しかも、彼らには、その怒りの矛先を、現政権(当時)を政権に就かせた自分たち自身にしか向けられないのである。これでは、やりきれない。

しかし、道を見誤ってはならない。

国家の首班が辞任しようが、新たな政権が生まれようが、それだけでは問題は解決しない。難しい同盟関係を持続可能なものにするべく、米国側が海外基地政策を劇的に見直さないかぎり、この問題に解決の糸口は見出せないのである。日本政府はこうした認識のもと、「国民のための外交」へと回帰すべきである。



Originally written, translated, and super-translated by Etranger

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