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2015/02/11

【和訳】イタリア経済紙特派員が行った邦人人質全員殺害事件に関する総括

 『安倍政権が犯した7つのミス』 邦訳完全版(注釈+参考ソース付き)


イタリア版経団連といわれるコンフィンドゥストリア(イタリア産業総連盟)が発行する1965年創業の老舗経済紙"Il Sole 24 Ore"のStefano Carrer特派員が行った人質事件に関する総括が、News Picsで扱われ一部話題となっている。

以下は、『安倍が犯したミスのすべて』と題されたこの興味深い記事を、伊→英→日の順で逐次翻訳した(伊→英は機械翻訳)もの。機械翻訳からの二次翻訳なので正確さは保証できないが、その限られた解釈から導かれた、イタリア老舗経済紙"Il Sole"が指摘する安倍政権が犯したミスは、次の7つである。

■安倍政権が犯した7つのミス
  1. 民間による仲介努力の阻害
  2. 長きにわたる意図的な沈黙
  3. カイロ演説の内容と前後の対応
  4. "アベ・イスラエル"に対する反応の計算
  5. 対策本部の選定ミス
  6. 連絡手段の乏しさ
  7. 事件が政府を利するという疑惑

平成25年12月9日安倍内閣総理大臣記者会見発言

"Tutti gli errori attribuiti ad Abe"

『安倍が犯したミスのすべて』(邦題:安倍政権が犯した7つのミス)


著:Stefano Carrer特派員
訳:Office BALÉS

(東京 1日)その日は、後藤健二氏の斬首刑という悲劇的なニュースと、首相官邸前での平和主義者たちの抗議デモという形で始まった。

護憲団体により開催されたこのデモでは、安倍首相が国際安全保障への貢献と称して、解釈改憲という改正を経ない憲法改正により海外への軍事介入の可能性を広げ、国際的な立場を強化しようとしていることに対する抗議がなされた。

それは、安倍首相が、後藤氏の斬首の恐怖や、ISISの脅迫(”日本の悪夢がこれから始まる”という明白な脅し)、そして政府の事件への対応の不満を利用して、いわゆる「積極的平和主義」("pro-active pacifism")を推進しようとしようとしていることに対する危惧の表れだった。

本件で安倍政権が犯した一連のミスを以下に列挙する。

①民間による仲介努力の阻害


最初の人質の湯川遥菜氏が捕まった時(1週間前に斬首刑にかけられた)、イスラム教に改宗した二人の日本人が解放のための交渉に備えていた。ジャーナリストの常岡浩介氏と、イスラム法学者の中田考氏である。彼らはシャーリア法に基づく裁判プロセスで通訳を務めるためにISIS側に招致されていた。

しかし日本の警察は土壇場(昨年10月の段階)で彼らの渡航を阻止。学生のシリア入国を手伝った疑いで彼らのパスポートを差し押さえた。

後藤健二氏の出発も、彼の友人である湯川氏を再び救出するためだった。一度目は、彼は湯川氏の救出に成功していたからだ。

※訳注1:その後、今年1月になって両氏の拘束が発覚してから中田氏らが独自のルートで交渉を模索したことは、『報道特集』の報道や外国人特派員協会での会見内容から明らかになっている。

政府は中田氏が警察に捜査を受けた問題人物であるという理由でこれらの努力も一顧だにせず、まったく彼らのルートを活用しなかった。後藤氏に至っては、3回にわたり渡航の自粛を要請し、湯川氏の救出に成功したことのある後藤氏の実力を信用し援用しようとはしなかった。

②長きにわたる沈黙


日本政府は昨年11月の中頃には確実に、ISISにより二人の邦人が拘束されていることを把握していた。しかし政府はこれを公にせず、また公にしようとする者には箝口令を敷いた。例えば『週刊ポスト』は、外務省から明示的にそう要請されたと報じている。その理由は、人質の命を危険に晒すことなく、解決策を模索するためだったというが、意地悪な見方をすれば、12月中旬に安倍首相が行った解散総選挙の争点になることを避けるために公にすることを避けたのではないかと疑うこともできる。

※訳注2:湯川氏が8月末に拘束されたことは政府は承知しており、交渉を行っていることも昨年時点で明かしていた。しかし解散・総選挙の機運が高まるにつれ湯川氏に関する発表や報道は消え、総選挙前後のあいだ政府の対応は事実上「沈黙」した。選挙期間中の事件対応の争点化を避けるためだったという分析はもっともである

③カイロ演説


漏れた伝わった情報によれば、中東への長期歴訪(エジプト、ヨルダン、イスラエル、パレスチナへの6日間の日程)の直前に行われた定例の国家安全保障会議において、ISISにより拘束されている邦人人質について安倍首相に進言した者は一人も居なかったという。

カイロで行った演説で安倍首相は、イスラム国と対峙する国々に対し2億ドルの支援を行う用意があるという点を強調した。そのすぐ後に、ISISは邦人人質二名の解放のために同額の身代金を要求した。日本政府が、支援金は人道支援目的のもので、難民救援のためだということを主張したのは、後になってからだった。

※訳注3:政府はカイロで行った演説の後で、公にISIS対峙国への支援は人道支援であることをしきにりアピールするだけでなく、民間を通じて中田氏に日本政府の同様のメッセージをISISに伝えさせようとしたことが『報道特集』の取材により明らかになっている。この”民間”というのは、政府が仲介を委託したCTSSである可能性があるが中田氏はその正体は明かさない。しかし、これはISISが求める「身代金支払いの可否」への回答にはなっていなかったため、「それでは即人質の処刑に繋がる」と不測の事態を恐れ、中田氏はそのメッセージの仲介を拒否したという。個人的には中田氏のこの判断は賢明だったと思う。問題はその後の政府の対応だ。


④アベ・イスラエルに対するアラブ世界の反応


アラブ世界からすれば、安倍がイスラエルで行った最初の記者会見の内容は、イスラエル側からの恫喝ともとれるものだった。あと数時間待てば、故アラファト議長の眠る大霊廟に花輪を添えようとしていたパレスチナから、同じ宣言を行え、より効果的であったのにもかかわらず。

※訳注4:6日間の日程のうち3日間をイスラエルに置いた安倍首相の中東歴訪は、結局事件対応のためイスラエルに長く居座り、パレスチナ訪問を数時間で済ませるという結末になった。エジプト、イスラエルで対ISIS対峙国支援を打ち出したため、ISIS側をより強く刺激し、法外で実現不可能な身代金要求に至らしめた責任は否めない。著者の指摘通り、パレスチナで支援の表明を行えばより効果的かつ正当な人道支援であると受け止められたことだろう。

⑤対策本部設置場所の選択ミス


多くの者が最も深刻なミスだと考えているのは、アブドラ国王の命により対ISISの有志国連合に参戦したヨルダンに、外務副大臣が率いる対策本部を設置したことだ。よりよい選択は、最近人質の解放に成功したばかりのトルコだっただろう。

※訳注5:この指摘も最もで、米欧メディアでも最も指摘されているのがこの点である。なぜイスラム国と明示的に対立しているヨルダンを選んだのか。ヨルダンは自身も昨年12月人質を抱えており、自身の問題で精一杯だった。しかし日本政府はヨルダンに対策本部を置いたため、そのことをISIS側が知り、両国がつけこまれ、ヨルダン側は知らなくてもよい真実を伝えられることになり、空爆再開の火蓋が切って落とされた。結果的に独善的な選択でヨルダンを深みに嵌らせた日本政府の業は深い

⑥連絡手段の乏しさ


日本政府は、誘拐犯らと有効な連絡手段を確保できていないことを公言していた。その割に、米国や英国に対しては公に支援を要請するのだから、まったく非生産的であった。かといって、何か創造的な解決力を発揮した訳でもない。例えば、現代イスラム研究センターの宮田律理事長は、外国報道陣に対し、例えば人道支援をISIS支配地域の人びとに配る意思を見せるべきだと、日本政府はもっとポジティブに受け取れるメッセージを発信するべきだと訴えていた。

※訳注6:国内のイスラムコミュニティから知恵は出されていた。「人道支援をISIS支配地域にも」というのは、何もエキセントリックに思える中田考氏だけのアイディアではなかったのである。政府が「人道支援」であるという点に固執するからこそ、イスラムコミュニティでは、「人道的」であるならば、敵味方隔てなく支援されるべきだという観点から、ISIS支配地域で苦汁を舐める住民にも支援の幅を広げれば、その主張が通りやすいという配慮だったのである。また政府が勝手に問題視した中田氏は、ISIS側も一目を置く存在であり、湯川氏の裁判では通訳を依頼するほど信頼があった。にも拘わらずそのルートを全く利用せずに頓珍漢な主張だけを押し付けてくるのだから、日本政府の状況判断力と連絡手段の無さはほとほと深刻である

⑦「誰が最も得をするのか」という疑惑


日本国内では、仮に人質の拘束場所を特定できたときに特殊部隊を組織して送り込むことの法的可否について日本政府が答申を求めたことがリークされた。さらに、平和憲法の制約によりそれは不可(「ノー」)であるというその回答までもがリークされた。

この事実だけでも、政府がいわゆる「集団的自衛権」(同盟国との海外での武力介入)の行使実現に向けた憲法改正を目指すことを正当化する理由として、この件を利用し、その道筋を開こうとしているのではないかと疑うに足りるという考え方もある。

この議論は今後数か月白熱することだろう。

※訳注7:日本政府が純粋に人質事件の実効的な解決を目指すのであれば、憲法上・国際法上・国連システム上、今回の案件には適用できない自衛隊の派遣を検討していることをリークするのは、決して適切な行動ではなかった。まして、それが現行憲法のみにより阻まれているかのように世論を誘導すべく更なる情報をリークするのでは、今回の事件を最大限に利用しようとしているという意図を疑われてもやむを得まい。またISIS側も当然その情報をキャッチしていることを念頭にいれるべきだった。将来、着実にISISに対する脅威をなろうとしている国であれば、ISIS側にも交渉の余地は無くなるだろう。そうしたリスクを、このリークはまったく顧みていなかった

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