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2012/02/21

普天間返還:2/20の『クローズアップ現代』音声起こしテキスト(後編)



在日米軍再編見直し ~玄葉外相に問う~(後編)


前編からの続き)

辺野古移設にこだわる理由


国谷
アメリカの安全保障戦略を見ていますと、世界情勢の変化に対してひじょうに柔軟に、流動的に対応する。今回の中身を見ましても、太平洋諸国にローテーションで配置をするという新しいやり方も見られるわけで、そういった柔軟性が見られる中で、普天間基地の移設を辺野古にするということは変わらない。何かこう、ひじょうに固定的に、固執した計画がずっと進んでいるように見えて、沖縄の方からは「辺野古移設も見直せる、もっと何か可能で実現できるものがあるんではないですか?」という声が出てきそうですけれども。

「固執した計画がずっと進んでいるように見えて」と、言った時の国谷さんの表情

玄葉
これは先ほども申し上げましたけど、まずは、普天間の固定化は絶対にあってはならないわけですね。で、いまの安全保障環境の中で―朝鮮半島を始め、あるいは周辺諸国の不透明な軍事力の増強―という状況の中で、「いまの沖縄の地理的な優位性」、また「海兵隊の特長」を考えた時には、1万人は、06年のロードマップでも、沖縄に海兵隊は残すとしておりました。その1万人は、やはり今回も残って貰う。そうでないと、やはり先ほども申し上げましたけれども、我が国の抑止力というものは維持できない、というのが現状ですね・・・
国谷
(再び、語尾を遮る形で)だからそういう風にずっと言われてきて、返還合意から16年経って、県内の反対の声も強くて実現できなかった。そういって、先行して施設が返還され、そしてグアムへの移転が進んだとしても、普天間基地がやはりこのまま固定化されてしまうんじゃないか、という根強い懸念というのは、拭えないですよね。
玄葉
それはもう絶対あってはなりませんので、先ほど申し上げたように、一方で強行はできない、ということですから、出来ることからやっていって、普天間については、先ほど申し上げたように、丁寧に理解を求めていく、というのがいまの政府の方針だし、アメリカと話し合った方針でもあるということです・・・

県外移転を再び協議の俎上に乗せる選択肢


国谷
(再び、語尾を遮る形で)何かこう、柔軟な方策で、アメリカはロテ-ションということを打ち出していますけれども、すでに岩国の受け入れというものに対しては「ない」ということを明言されているんですけれども、日本国内でもう少し、その負担を、たとえばロテ-ションを受け入れていく―そういったことを議論のテーブルに改めて出す、日米協議でも出す、ということはお考えになりませんか?
玄葉
それで結局、ひじょうに迷走したわけですよね、かつて。
国谷
はい、鳩山政権のときに。「少なくとも県外」と仰って。
「ひじょうに迷走したわけですよね」と、言った時の玄葉氏の表情

玄葉
(苦笑して)ですからね、岩国も、実は厚木の飛行場から空母艦載機を59機受け入れていただくわけです。で、普天間が移設するときに、KC-130というものを受け入れて貰うことになっています。

で、仰るように、全国で分かち合うということが必要なんですが、今回の普天間飛行場そのものについては、先程来から申し上げてますけど、「パッケージ」―これは「パッケージ」と言うと語弊がありますが―「ユニット」なんですね、ひとつの。飛行場だけ移せばいいということじゃないから難しいんですね。陸上部隊も―普天間飛行場というのはヘリ部隊なんですけれども―陸上部隊も、補給部隊も、合わせて移さなきゃいけないわけです。そうすると、簡単に代替地が見つかるという状況にないと。それを「迷走状態」にしたり、あるいは「遠くに」、なんていうことになれば、それは周辺諸国に誤ったメッセージを送ることになってしまうと。

日本が主体的に出来ることを模索する選択肢


国谷
ですから、抑止力は維持したい。負担は―沖縄の負担は―軽減したい。しかし国内で・・・(言い直して)県内での受け入れは、ひじょうに厳しい状況ですし、県外で受け入れ先がない。そうなると、やっぱり普天間は何も変わらずに固定化されるのではないか。そこからの打開策を具体的にどうやって見つけようとされているのですか?
玄葉
 ですから、やっぱり辺野古に、これは日米両政府とも強くコミットしていく。それと、我が国が国自身がやれること、もっとですね。自衛隊含めて。とくに南西方面に対する緊急展開能力を高めるとか、そういったことをより主体的に行っていく必要がある、という風には私は思いますけどね。
国谷
自衛隊の役割をもう少し強化する、ということですか?いま海兵隊が担っている沖縄の・・・
玄葉
 (遮る形で)私はそういったことも含めて、今後考えていく必要があると思います。それは必ずしも辺野古の代替にはなりませんけれども、ただ、現在の安全保障環境を考えると必要ですし。

ただ、もっと言うと、日米同盟というのは本当にもっと大きく捉える必要があって、96年に橋本・クリントン会談で「アジア太平洋全体の公共財」と呼んだ。小泉・ブッシュ両首脳の会談では「地球的規模の日米同盟」と言った。で、やはり今度は、もう一回「アジア太平洋」に重点が移って、そしてグローバルな規模で、ソフトパワーも含めて―ハードパワーだけじゃなくてですね―「総合的・創造的な役割分担」というのをきちっと考えていく。で、自衛隊と米軍の役割分担も考えていく。そういうことがいま求められていく。そして、今回の合意は、そういったことが、私は、可能になっていく合意だという風に考えています。
「グローバルな規模で」と、言いながら地球を表すジェスチャーをする玄葉氏

国谷
今年は復帰40周年の沖縄で、是非とも、普天間基地の問題の解決のきちっとした糸口。そういうものを、打開策を、見せていただきたいと思います。
玄葉
はい、というよりも、そういうことも勿論大切なのですが、日米同盟をもっと前進させていく、ということが大事だと思っています。
国谷
ありがとうございました。

以上




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