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普天間問題に関する直前のブログ記事の最後のパラグラフで、私はアメリカは内乱状態に陥ろうとしていると書いた。これは本当だろうか。
事実である。第二次世界大戦の終結から'70年代までのアメリカは、世界最強の経済大国だった。そしてアメリカ人は、この経済力は自分たちの当然の権利と思い込んでいた。だが歴史を学べば分かるように、変化はごく自然に訪れるものである。
アメリカ以外の国々、たとえば西欧や日本も繁栄を謳歌するようになった。そしていまは、中国とインドが台頭してきている。
またこの惑星の石油などの天然資源は枯渇しかかっており、安い石油なしでは、アメリカ人が生まれながらの権利と信じて疑わないこれまでの生活水準を維持できなくなる。
日本で35年間暮らしてきた私は、アメリカが極めて利己的な社会へと変貌してゆく姿を見つめてきた。保険会社は、法外な保険料を請求するくせに、いざ実際に保健が必要になると顧客をいとも簡単に切り捨て、治療費の支払いを拒否する。毎年、多くのアメリカ人が保険会社の治療費支払いを拒否された末、死んでいっている。
アメリカの銀行や投資会社は、人々が最終的にホームレスになることを承知で、わざと複雑なローンを人々に勧める。これにより、アメリカ人の24%が住まいを失う危険性があることを示す統計もある。過去30年間、アメリカでは人口の1%の富裕層に全ての富が集まるという現象が起きている。残りの99%は現状すれすれか、ますます貧しくなる一方であるにも関わらずだ。
ただ、一般的なアメリカ人があまり経済的計画性が高くないのもまた事実だ。たとえば、ほとんどのアメリカ人はクレジットカードで生活しているというニュースをよく耳にする。まったく、呆れかえってしまう。クレジットカードを使うことで借金が蓄えられ、その借金はいつか返済されなければならないことを、彼らは分かっていないようだ。
つまり現在のアメリカは、終戦直後の生活水準をもはや保てるわけがないのに、そうした贅沢なライフスタイルを享受するのが当然の権利であると考える人たちで溢れているわけだ。私が思うに、保守派のティー・パーティーのデモ参加者たちの思想背景にもこのような考え方がある。彼らは自分の人生設計においてミスを犯したツケを払っているのだが、そのツケを払わないでいいように、誰かがルールを変えろと訴えているのである。
では、政界はどうか。
政界では、議論する能力が失われて行っている。右派・左派関係なく、大げさなレトリックを投げ合っているのが現状である。だがやはり、右翼の危険性をここで強調しなければならない。右翼のテレビやラジオでは、コメンテーターが公共電波上で暴力を勧めるようになってきている。
そして政治集会には銃を持った人たちが集うようになっている。アメリカ人は、「何かを失う」という感覚を忘れてしまったのではないかとすら思えてくる。たとえば、住宅を担保にあやしげな金融取引を行えば、その住宅を失う可能性があるということを考えようともしない。そういった人たちが今、誰かが彼らの過ちを正してくれないかと、暴力に訴えようとしているのである。現実はどういうことかというと、あまりにも多くのアメリカ人が欲張りで、かつ自業自得で勉強不足になっているのである。
どのような国でも、革命を起こすには、その求心力となる中心的勢力が必要になる。この中心的勢力が、組織的に目標を定め、規律を守り、革命的な活動を指示するわけである。ロシアの場合、共産党は革命を成功させ、内乱を制すりることで体制を維持した。
二次大戦後の中国では、中国共産党が内乱に勝利することで中国を制した。
アメリカにも、そのような革命を望む勢力は存在する。それは、キリスト教原理主義者たちである。彼らの信ずるアメリカのあるべき姿とは、聖書の規律によって支配された神政主義的な独裁国家である。
アメリカ人の50%位は、キリスト教原理主義者だといえる。そのうちのさらに半分が、彼らの考えるキリスト教立国アメリカを創りあげるために暴力的な革命を起こすことが信仰上の義務であると信じている。彼らの信条に改宗しない者は、二級市民扱いされるか、強制退去を余儀なくされるか、単純に殺されるかのいずれかだ。これらの考え方は、それぞれのリーダーによって異なる。
アメリカを征服した後の彼らの目標は、世界各国を全て彼らの信じるキリスト教国に染め上げることである。カソリックや、ルター派などの伝統的なキリスト教徒は根絶やしにされるだろう。
国家をキリスト教化するというこの革命哲学は、七つの分野において徐々に進化してきた。
これを"Seven Mountains" (「七つの山々」)戦略という。
Arts & Entertainment
芸術とエンターテインメント
Business
商売
Education
教育
Family
家族
Government
政府
Media
マスコミ
Religion
宗教
彼らの計画は、この全ての分野をキリスト教原理主義者が支配し、国家の信仰を自らの信仰へと塗り替えることにある。
ベトナム戦争終結後、キリスト教原理主義は特に軍隊に目標を絞って布教を行った。私の見たところ、大多数の米軍人は、キリスト教原理主義である。彼らは、ムスリム国家のイラクやイスラムでのアメリカの戦争の現場で顕在化するほど、大きな存在となっている。
仮にいまアメリカで内乱が起きたとして、合衆国大統領の命令に全ての米軍人が従うとは思えない。多くはキリスト教原理主義者の側に与するだろう。
キリスト原理主義のほとんどは、オバマ大統領を正統な大統領と認めていない。実は、2008年の大統領選挙でマケイン候補の副大統領としてサラ・ペイリンが擁立されたのは、キリスト教原理主義のクーデーターの一環だった。当時、数多くの原理主義者Webサイトで共和党候補の選出が叫ばれていた。マケイン大統領は当選後、暗殺され、自然にペイリン副大統領がキリスト教原理主義出身の大統領になる予定だった。
アメリカではすでに、宗教上の理由に端を発した無差別的な暴力が始まっている。中絶医は狂信者集団に殺害されるし、つい先週、FBIは、警察官の暗殺を企てていたとされる原理主義系民兵組織のメンバー8人を逮捕した。
こうした民兵組織に属する人間は、一様に無知で、恐怖や、不満を抱えている。しかし核となる信仰のシステムが確立されており、民兵組織のメンバーらは強い原理主義的価値観を持っています。しかし現状は、アメリカ人全体の25%が強硬的な原理主義者であり、さらに25%が彼の支持者なのである。これは暴力的な革命を起こすのに十分な数字であると言える。
実際に彼らが原理主義者たちがアメリカを支配するかどうか、それはまだ分からない。だが、アメリカ国内で武力紛争が起きるのは間違いない。
現状、キリスト教右派は、政治的な支配を確立しようとしている段階にあり、これに成功しつつある。彼がなぜただ「逮捕」されるのか。たしかにアメリカには言論の自由があるが、それが理由ではない。彼らの政権公約(マニフェスト)は、彼ら以外の種類の人間、彼ら以外の思想を持つ人間のあらゆる権利を剥奪することをその目標に掲げている。
彼らの政治的活動の背景には常に宗教的な理由があるため、彼らは自分たちが正しいと信じて疑わない。その中には、武闘派の動きもある。たとえば、"Joel's Army"(ジョエル軍)又は"Phineas Priest"(フィネウス司祭)とぐぐってみればいい。これらのグループは、キリスト教の名のもとに暴力的な活動をすでに展開しているか準備中のどちらかだ。そして、キリスト原理主義といえば、あらゆる人種が網羅されるものだったが、最近は、白人至上主義者による運動へと。
彼らは着々と計画を進行させている。最近では、テキサス州でアメリカ史の教科書が書き直された。彼らは教科書に、アメリカの建国者らは、キリスト教原理主義国家を創ろうとしたのだと書き込みたいのである。これは事実ではないが、これも彼らの「七つの山」戦略の一つなのである。
FOXニュースも、常に保守的でキリスト教的な世界観で報じることで、計画の一環としての役割を果たしている。
政界では、サラ・ペイリン議員やミシェル・バーハマン議員が先頭に立って動いている。いまのところ、彼らの絶対的リーダーというのは存在しないが、「リーダー」と呼べる人物が10~15人もいる。
私はルター派の子どもとして洗礼を受けた。私には、彼らキリスト教原理主義者らが真のキリスト教徒だとは思えない。彼らは神の名において破壊や殺戮をもたらしているのである。それは、宗教ではない。それは、個人の利己主義の発露に過ぎない。
Original Text by Max-小林
Translated with permission by Etranger
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